第31話 欲深き柱【ピラ・デセオ】

 北大陸国ヴェルリゾンに生息する神獣。

 全長は神獣内で最大であり、史上最大の生命体とも言われている。

 その正体は、巨大な脚長蜘蛛あしながぐもで、地上からでは遥か上空に溶ける胴体を視認することはできない。それを支える八本の足は光すら飲み込む闇色の柱で、遠目から見れば世界に切れ目が入ったと思うだろう。

 脚の先端はヒトよりも細く返しの付いた鋭利な槍状をしている。その先端はドリナード上最硬質で、ディアグラム根源物質をも楽々と貫ける。それが使われるのは、攻撃ではなく、搾取の時だ。

 標的はグル・イラ神獣が生成した高純度のディアグラム根源物質。奪取の際には、その長大な脚を烈風の如き素早さで動かし抵抗の隙を一切与えない。場合によっては、それを保有するヒトからも奪おうとする事例もあるそうだ。

 奪われたディアグラム根源物質は遥か上空の胴体へと送られる。

 目的は捕食か収集か不明だが、いずれかの欲を持った神獣であることは間違いないと捉えられている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る