第20話 空魚について話そう

 空魚くうぎょとは、空を泳ぐ水棲生物の総称である。

 空"魚"とあるが、魚だけでなく、鯨やアシカなどの水棲哺乳類も含まれている。

 しかしそれは本物の生物ではなく、宙を漂う粒子パティが一時的に集約し生物の姿を模倣しているだけである。

 東大陸国ジペングニアの、特に霊峰白渓はっけいの近辺でよく見られる現象であり、それを目当てに国交の乏しい他大陸からも観光に訪れる者がいる。

 その発生条件は詳しく分かってはいないが、発生するのがほぼ東大陸国ジペングニアであること。さらにメイト見える者の証言により、宿り子や宿神を乗せて泳ぐ姿が目撃されたことから、彼らと深い"神和性つながり"があること。また宿り子には、粒子パティに干渉する力がある可能性が示唆されている。

 世界学者はさらに、集約された粒子パティが生物の中でも特に、"可愛げ"のあるものを模倣していることから、命だけでなく心すらも粒子により生み出されるのでは?とも推論しており、空魚くうぎょは"自然発生した心"とも言われている。

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