一人でいたいだけなのに。

かなゾウ

第1話

       

    私は友達を作ることがキライだ。

 このダメな性格は、私の学校生活に大きく影響した。

 今、私は高校生。学校ではいつもひとりぼっちだった。周りの生徒はみんなグループを作って楽しそうにおしゃべりなんかをしている。でも、私はそんな教室にいづらいとは思ったことはない。私は一人でいることに慣れていたからだ。本を読んだり、勉強をしているふりをして、近くの女子集団が何を喋っているかを盗み聞きしたり。自分一人で孤独に休み時間を謳歌していた。

 去年の7月のこと。例によって私がひとりで読書をしていたとき、私に声をかける生徒がいた。今回はこの生徒のことを仮にK子と呼ぶことにしよう。

 K子は私にさっきの授業のことを話してきた。そのとき私は別段なんとも感じず気軽に返事をしてK子に共感を寄せていた。問題は次の日からだった。

 K子は私の孤独な学校ライフにちょこちょこ出入りするようになった。やがてその出入りする頻度は多くなり、日を追うにつれ、私はイライラするようになった。

 今思い返すと、K子との会話は実に面白くなく、かつタメになる話でもなかった。K子はいつも彼女の好きな韓国アイドルグループの名を並べ立てたり、「今日って小テスト?」と、英単語帳を開いて勉強している私の前で平然とやる気のなさそうな疑問文を出してきたり。しかし、もっと面白くないのはそのセリフを毎日毎日繰り返して使っていたことだ。

 ここで一言言っておきたいことがある。それは決してK子は何も悪くないということだ。K子はきっといつもひとりでいた私を気にして毎回声をかけにきてくれたか、もしくはK子自身孤独の身だったから私にくっついてきたのかもしれない。

 残念ながらそのときの私はK子に心から優しくすることはできなかった。

 K子はいつも自分の席に着席している私に近づき、リサイクルされた言葉をさも大事そうに私に聞かせ始める。K子の口から出た言葉たちは座っている私の頭の周りを通過し、雨のようにバラバラと降っている。ろくにしゃべらない私は素直になることもできずにずっと黙ったままでいた。 

 そんな退屈な学校生活も昨日で終わった。今日からは春休み。そして来月からはまた、新しいクラスになる。だから私たちは一緒ではなくなるのだ。

 友達を作りたくなかった私と、一人を嫌いずっと私にくっついてばかりいたK子。残念ながら私は最後までK子に優しくできず、ずっと除け者扱いをしていた。K子が話しかけてきた言葉も毎回同じことを言っていたことにも関わらず、ほとんど覚えていない。しかし昨日、帰り際の私に彼女は一言こう告げた。

「来年もまたよろしくね!」

 この言葉がK子にとってどんな意味を持って使ったのか、孤独好きの私には分からない。だけど、この言葉だけはなぜか私の体からは離れようとしない。

 これが友達と交わす言葉というものだろうか。

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