ハイスペック隠れイケメンはひっそりと生きたい
二歳児
第一章
第1話 イケメンはひっそりと生きたい
※注釈
この作品は主人公が微ハーレムを築く予定ですが、作者はハーレム系の物語を書くことが苦手(負けヒロインを書くことが耐えられない性格)なので、終わり方が曖昧になったり、「これで終わりっ!?」という終わり方になる可能性があります。そうした結末になることを理解していただいたうえで読んでくださる方は、自分のできる範囲で精一杯の物語を作る予定ですので、楽しんでいただければ幸いです。
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昔から自分の顔だけを見た人が寄ってくるのが嫌だった。俳優の父親と女優の母親のもとに生まれ、ルックスに気を遣う習慣のもとで育って、育ち盛りにしては整いすぎたその顔。
中学生のころは髪の毛が入ったチョコレートなどの行きすぎたものを渡されることも多々あった。見知らぬ人から恨みを持たれて殴られそうになったこともあった。泣きたくなるのも我慢して、容姿以外の強みを作りたくて様々なことに必死に力を入れた。
それでも、顔を理由に言い寄ってくる人は多かった。
だから高校では、見た目に気を遣うことを決意した。普通の人間とは逆の方向へ。
さすがに不細工とまでは持っていくことが出来ないので、前髪を長くしたり眼鏡を掛けたりと、雰囲気イケメン程度までにはグレードを下げた。
そして──………
(最高………!!!!)
誰にも邪魔されない、誰にも声を掛けられない。一挙一動に注目されることもない。人と話すことは嫌いではないが、顔だけ見てすり寄ってきたりだとか胡麻擦りで近づいてくる人たちと話すことは嫌いだった。
それに、中学校の頃に身に付いた習慣のお陰で成績も下がることはない。運動部には入ってないが、近所のバレークラブには入ってるから太ることもない。
だから自分の時間を謳歌することが出来る。
(………イメチェンしてよかった)
普通の人間とは逆方向のイメチェンだが。
隣の芝は青く見えるとはよく言ったものだ。顔立ちが整っているのは妬まれやすいものだが、俺からしたらそう言っている人たちの方が羨ましい。
が、今ではそんなことどうだっていい。
高校生にもなればみんながみんな恋人がほしくなってくる時期だ。だからこうして根暗になっていればどの女子も気にかけてなんて来ないし、向こうがこちらに関心を持たないから、顔がばれる心配も減る。
周りに気を遣わずに過ごせる。なんて幸せな時間なんだろうか。
ただ一つ、懸念があるとすれば。自分がインターネット上で微妙に顔出しをしている点だろうか。
中学生のころに何か自分の強みを作ろうと思って取り組んだことの一つが、歌。
最初はそこまでうまくはなかったのだが、ボイストレーニングに励んだおかげで少しはましになった。自分の納得する水準にまで達したので動画投稿サイトで歌ってみたを出そうと思い、動画を作成した。その際に、目元を隠す仮面をした状態の動画を投稿したのだ。
歌い手、既存曲───主にボーカロイド曲を歌う動画投稿サイト上の人たちは、基本的に顔を出さずに歌うことが多い。そのため、実写の映像が少しでも入っていれば伸びるのではないかと思った次第だ。原曲のMVは自分も好きなものが多いので、本家の映像をテレビで映しその前で歌っている映像にした。
何が功を奏したのか分からないが、活動から四年目の今年では登録者が五十万人にまで来た。登録者が伸び始めたのが二年目で、今も尚少しずつ増えている。
とまあ、顔の下半分が動画投稿サイトに出ているわけだ。さすがにそれだけで特定されないとは思うが、よく見てくれているリスナーさんであれば雰囲気でばれるかもしれない。
クラスメイトで知っているわけがないから大丈夫だろうが。
誰も視線を向けてこないこの空間を心地よく思いながら、今後に思いを馳せた。
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