ゴミ勇者
仲仁へび(旧:離久)
第1話
世界各地で魔物があばれている。
だから、選ばれし者がそれらの脅威を排除しなければならないのだが……。
勇者に任命した者が、酒ばかり飲んで魔物を退治しない。
そんな情報が魔物との激戦地から、国の中心部へととどいた。
勇者が、戦う理由は酒、らしい。
援助金で酒を飲むため、らしい。
そんな話を聞いた国の要人は、みな揃って頭を抱えた。
「まるでゴミですな」
「これではゴミ勇者です」
「いや、ゴミの方がまだましだぞ、資源として再利用できるものもあるしな」
耳に届く勇者の評判は芳しくない。
だから自然と、その場は悪口大会になっていた。
「勇者ともあろう人物が、酒が飲めなくなった程度で動けなくなるとは」
「聞けば世話役が酒を持ち歩いていなかったら、剣の一振りもできなかったとか」
「それはもはや病気ではないのか? 人間性の問題なのか?」
一同は頭を抱える。
そして、ややって、重いため息をついて決断をくだした。
「決まりだ。ゴミはさっさとゴミ箱に捨てるべきですな」
「他の勇者を選定してしまいましょう」
「異議なし」
しかし、彼らは知らない。
人のお金で酒を飲むためには、どこまでも頑張る勇者がいるという事に。
「へっくしょい!」
「どうした面倒勇者? 酒か? やらんぞ」
「人を何だと思ってんだよ、くしゃみくらい何でもない時にするわ。人間なんだから」
一週間後、国の中心部で派手な戦闘音が発生して、国民を騒がせる事になったが、後にただの訓練音だと公表された。
町から一時的に酒の在庫がなくなった事もあったが、魔物の駆除作戦に使用されたいう情報だけが出回った。
ゴミ勇者 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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