何度春がやって来ても、俺に青春はやって来ない
片桐ショーゴ
#01
「おにぃ!おにぃ!ねぇおにぃってばぁ」
(……
別に
ベットに置かれる時計をちらりと見て今の時間を
しかし、そんな事は関係ない。今重要なのは「眠い」という事実だけだ。
「んもう、おにぃ、朝やで」
下腹部に乗っている
「……もうちょい寝させてくれ。せっかくの休みなんだぞ」
「ついに今日からやねん!|東京ってどんな感じなんやろ」
期待に胸踊らせ、目を輝かせる皐月をぼーっと眺めていると、またすぐに
「っておにぃ!起きてって」
どうやら「もうちょい寝させてくれ」という俺の
服を掴まれ、上下に体を
「分かった分かった、起きてるから」
「まだ
「
「それただおにぃが起きたくないだけやん」
「そうとも言うな。ってことで俺に睡眠時間を
「もう8時やで」
どうやら皐月の方も一歩も引く気はないらしい。
「考えようによっちゃあまだ8時とも言う」
「おじさんがもうお仕事行くって」
「まぁそんな時間だな」
「今日からまた
「…………」
そこをつかれると何も
一人
そんな相手に対して
「おにぃ、起きてって」
「っ分ぁったから。とりあえず早く俺の上から
皐月は俺の
「ふぅぁー」というあくびとともに
(……ガード
皐月の
そのせいで俺は皐月の座る方と
(ここ俺の部屋だよな……)
「どうしたん?おにぃなんか変やで」
そんな気を知るはずもない皐月は
「……
「うん。……それが?」
皐月はまたしても意味がわからないという風に首を捻る。
俺は「はぁーっ」と深いため息をついてから
「あのな?まず
「へ〜。……なんで?」
ここまで
「なんでって……そりゃなんか間違いが起こっちゃまずいからだろ」
「えっと……え、おにぃ、うちになんかするん?」
どうやら「間違い」というのが何を指すのかは流石に分かってくれたらしい。
皐月は自分の体を
「俺は別に皐月をどうこうしねぇよ」
「なら
皐月はスッと
(いや、ちけぇ)
一度
「とは言え今日から親もとを離れるわけだし、お前ももう
「えー、ただのスキンシップやん」
「だからそのスキンシップを控えろって言ってんだよ」
どうやら皐月には俺の言いたい事が伝わりきってはいないようだ。
それから少しの間
「……あ、もしかしておにぃうちの事
「してねぇ……こともねぇけど……」
「大丈夫やで。こんなことすんのはおにぃにだけやし」
「その「おにぃ」にもしなくていいんですけどな」
「そら無理やで。
強めの
「いや、普通しないだろ」
「えぇ、
「というか、そもそも俺らは兄妹じゃねぇ」
そう、俺と皐月は
「ただのお
しっかりと
「そんなぁ。おにぃとうちの仲やんか!うちが生まれてからずっ〜〜〜と
「過言だ過言。親も違うし、別れて
「血は
「ほうほう。……というと?」
しばらく
「ぶるーとぅーす……とか?」
こりゃあまた
「どこのハイテク機械だよ。俺の
「うちにもついてないねん」
「ついてたら怖いわ」
全くもって終わりの見えない会話をしていると部屋のドアをノックする音が
「今日の
親父はネクタイをしめながら部屋の外から話しかけてくる。思春期の高校生ということもあってあまり部屋には入らないように気をつかってもらっているのだろう。
「あ、うん」
「母さん達が
学校に戻る時には大体親父か母さんのどちらかに
その母さんはというと
「
「ほとんどマンションに置いてあるからこれだけ」
「そうか。皐月ちゃんの荷物も持ってやれよ」
「そのつもり」
「皐月ちゃんももう準備出来てる?」
「バッチリや」
皐月は親父に向かって
「なんかあったら
「はい!」
「じゃあ、俺は仕事行くから。また次は
ここでゴールデンウィークでの
「あっと……まだ分からないけど帰って帰れる時に帰るよ。
「そうか。無理はしなくていいからな。2人とも
「うん」
「はい!」
「じゃあ」
そう言って親父は部屋のドアを閉めようとする。
「親父」
ドアが閉まりきらないうちに声をかける。親父はそれに反応してドアを
「仕事
息子から改めてそう言われたのが
「ありがとう」と
親父のいなくなった
「というかお前ホントに準備出来てるんだよな?」
「そんなん
「……その「当たり前」は「当たり前に出来てる」ってことでいいんだよな?」
「うちの「当たり前」は「当たり前に出来てない」の「当たり前」に決まっとるやろ」
皐月はにっこりと笑いながら「えへん」とでも言いたげな顔をしている。もう
「……今すぐ用意してこい」
俺はあきれて左手で頭を
「えーおにぃも手伝ってよぉ。そのためもあって呼びに来たんやで」
どうやら起こしにきた
「
「でもぉ、普通に
(めんどくさいって……)
こういう時に理由をでっちあげずに
「自分の事くらい自分でやれ。一人暮らしするんだろ?」
「それは一人暮らししてから
皐月は俺の
「とにかく俺はしなきゃいけない事があるから
「おにぃ、準備終わっとるんやろ?おじさんもなんかあったらおにぃを
「それはあっちに着いてからの話だろ」
「おにぃ、そんな冷たいこと言わんで手伝ってや」
「
「皐月、今からでもここから
「荷造りしてきます」
皐月は最後の切り札としてとっておいたセリフを聞くと
「ふぅ〜」
思わず大きなため息が出る。
(危なかった)
後少しで完全に皐月の
皐月が出ていくと部屋には
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます