第5話

 それからしばらくして、私は今、下北沢TORIOのアパートの前にいる。

築年数は25年で見てくれはやや汚れたピンクの外観だが、内装はリフォームしたばかりでキレイなハズだ。

私が到着したことを大家さんに伝えるべく、スマホを取り出した時、おーい、と声をかけられた。

声のした方を振り向くと、白い作業を来たおじいちゃんが手を振っている。


「今ダストボックスを整理してたんだ。 初めまして、双葉です」


「あっ、初めまして! 今日からお世話になります」


 頭を素早く下げる。

大家の双葉さんは優しそうで、私は少し安心した。

早速、今日からここの105号室に住むことになるが、ここはシェアハウスだ。

先に住んでいる2人に挨拶しなければならない。

部屋に向かう途中、双葉さんが話をしてくれる。


「先に住んでる2人も、一週間前に田舎から出て来たばかりなんだ。 東京のこと、あんまり知らないから教えてあげてくれるかい?」


 これから一緒に住むということで、私はインターネットに掲載されていた2人の情報を一通りチェックしていた。

ネットには、金髪の細身の男子と、大人しそうなメガネの男子の顔写真が載っていて、金髪の子はユージ君。

メガネの子はマサル君ということは頭に入れていた。


「ユージ君とマサル君ですよね。 分かりました」

 

 2人とも、高校を卒業したばかりの18歳で、私の方が先輩だ。

105号室の前にやって来ると、双葉さんが鍵を取り出し、中へと足を踏み入れた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る