ヤケクソうどん
@oga112
第1話
私の名前は山田一葉(23)
今はとある保険会社の事務をしている。
その仕事内容は、お客様の個人情報をひたすらパソコンに打ち込む、と言うものだ。
この仕事に特別、何か不満を持ったことはないのだけれど、一つ気に入らないことがある。
同僚のリエ(24)だ。
彼女は私が強く言い返せない、という性格を利用して、ことあるごとに仕事を押しつけてくる。
今日も定時になる1分前に突然書類を寄こし、こんなセリフを吐いてきた。
「ごめんカズハ、今日ちょっと外せない用事あってさ。 大丈夫、カズハなら出来るよ! それ、明日までに机の上置いといてねっ」
「あ……」
引き留める間もなく、リエはタイムカードを押して部屋を出て行った。
結局、私が帰宅出来たのは夜10時で、スーパーで惣菜を買ってアパートへと戻ってくる。
お風呂に入り、髪を乾かして食事にありつけたのは11時。
見たいテレビも終わっいて、アマゾ○プライムで一度見たドラマをリピートしつつ、どうぶ○のもりというゲームをやる。
(頭、空っぽにしなきゃ……)
油断したら、リエが頭の中に出てくる。
放っておいたら、私はリエを頭の中で撲殺し、どんどん攻撃的になっていく。
久しぶりにゲームを起動し、住人に話しかける。
顔が黒い猫のキャラクターだ。
その猫は、怪訝な顔をしてこう言った。
「あっ、久しぶりだね。 君って、突然やって来たと思ったら厄介なことを押しつけてくるタイプだよね~。 何か、風来坊っぽくて憧れるよ~」
は?
厄介事を押しつけてくるのはリエでしょ。
それと同時に、ドラマの脇役らしき男がセリフを口にする。
「お前ならきっとやれる! 諦めるな!」
リエが半笑いで口にしたセリフ。
私は頭に血が上り、思わず手にしていたゲーム機をテレビに投げつけた。
「ふざけんなーっ!」
新しく買ったばかりのテレビの液晶パネルは砕け、ゲーム機が床に転がる。
頭に血が上り過ぎたせいか、鼻から血が垂れていた。
「ハーッ、ハーッ……」
息遣いが荒く、一向に冷静さが戻らない。
私は、台所に向かうと包丁を手に取り、それを寝室にかけておいたカバンの中へしまった。
(明日、リエを殺そう……)
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