詩集 赤の柱

仲仁へび(旧:離久)

封印された歴史



 歴史ぬりかえていく

 気づかないまま


 黒を白に変えていく

 善を悪に変えていく


 景色をだんだん重ねていく

 記憶も心もすべて下に押し込めて


 誰も気づかないで

 こんな悲劇的な物語


 これ以上誰かを泣かせないで

 悲しませたいわけじゃない


 閉じられた世界

 忘れられた記憶


 どうかこじあけないで




「ストーリー」

 自分の死と引き換えに、暖かなものを守ったと信じていた。


 けれど、守れたものはなかった。


 家族も故郷もすべて燃えつきてしまっていた。


 元凶は、世界中を包み込む、あの争いの火。


 消さねばならない。


 気づけば忌み嫌う炎を手にしていた。


 どんな事をしてでも。


 堕ちた英雄と言われ、同胞から指をさされようとも。


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