君とオレンジ

@Inady07

第1話 朝

「ピーン...」


ケータイが鳴り、僕は今日も目覚める。


少し間の抜けたようなその音は、僕をその浅い眠りから覚醒させるのに十分だ。


うっすらと目を開けると、駐車場横に植えられた木々の葉の間から朝日が差し込んでいる。


僕はLINEを開く。


「おはよう。」


まとわりつくような夜の陰鬱さはいつの間にかどこかへ去り、僕の頭の中に抜けるような空の爽やかな風と、甘酸っぱい果物のような香りのする音楽が広がる。


僕は目をこすりながら、


「おはよう。」


と君に返す。


君とのLINEは、それが始まってから、それ以外の言葉を知らないのだ。


そして僕は音楽のリズムに合わせて頬を叩きながら、洗面台へ向かう。

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