倒れること通算21回。仕事で疲弊した俺→ツンデレの美人上司が隣で寝ていた。その後..ムフフな展開にw

雲川はるさめ

第1話

倒れること通算21回。仕事で疲弊した俺→目が覚めるとツンデレの美人上司が隣で寝ていた。その後..ムフフな展開にw



目が覚めると俺は危機的状況下にいた。

俺はタンクトップ姿でどーやら

ベッドに横たわっていたのだが、

とんでもない、状態で寝返りも打てなかった。


目の前にいるのは見知らぬ美女ではなくて

知った顔。


俺の美人上司で山野井さん、て女性。

年齢は確か俺の記憶では30歳が隣にいた。


それも俺の首に巻き付いた状態で。


なんだかよくわからねーが、完全に俺を

ロックオン、てゆーか、抱き枕にしてる

節があった。


どーしてこーなったのか本当に分からないが。

時間軸をだいぶ前に遡らせて

語っていこうと思う。


現在から遡ること一ヶ月前。


25歳の俺はとあるマンションで一人暮らしをしていた。


俺は5階の1番奥、の角部屋に住んでいるんだが。


夏のある日のことだった。


その日は日曜日の昼下がりで。


ピンポーンと呼び鈴が鳴ったのでドアを開けて出ると、知った美人顔があった。


俺の会社の上司で。仕事がバリバリでき、

面倒見のいい姉御肌の女性。皆からとても慕われていた。彼女の名前は


山野井さん。


「こんにちは、初めまして」


「おとなりに越してきた山野井と申します。

宜しくお願いします...」


ここまで言って隣人が部下の俺だと気がついたみたいだった。


「って、山吹くんじゃん!!」


「あ、はい、そーです」


「えー、本当に偶然。

このマンションに住んでたんだ!!」


「はい」


さっきまで敬語だった彼女が、

急に上からきた。


「宜しく頼むわ!

なんかゴミ出しのルールとか

わかんないことあったら、聞くから!!

いい?ちゃんと答えてもらうわよ!」


「あ、は、はい」


仕事場の口調になり変わり、

俺に向かって右手の人差し指を立ててきた。


「こ、これ、挨拶代わりの菓子折!

受けとんなさい!!」


「あ、ありがとうございます!」


「用事はそれだけだから」

「じゃね!」


早口でそう捲し立て、彼女は

スタスタと隣室に帰って行った。


さてさて。職場での

美人上司はやたらと俺に厳しい。


「ちょっと、山吹くん、頼んでおいた

資料だけど、いつになったら出来上がるのよ!」


「あ、すみません...」

「すっかり忘れていました」


パソコンの前に座っていた俺は大慌て立ち上がり、彼女に謝った。


ま、最も、美人上司が俺に厳しいのは

自分がこんな感じで抜けているせいもある。


「ほんっとーに、ダメダメだわね」


「すみません...」


「しっかりしなさいよ!」


「は、はい...」


俺は常日頃から美人上司に結構、キツめに

対応されていたのだが。

そんな状況を面白がる同期がいた。


奴の名前は、藤島。



院卒でミスの多い高卒の俺をやたらと

馬鹿にしてくる。


「あーあ。やっぱり高卒は

仕事ができなくて使えねーなw

お前、また山野井さんに怒られてるしw

ざまぁw」


俺は基本的にこいつに対して言い返さない。

奴は言い返すと更に上から矢継ぎ早に嫌な言葉を浴びせてくる性格の持ち主だったから。



これは俺の予想だが。

てか、もう確実な線だと思うが。

藤島ときたら、山野井さんのことが

好きらしい。


俺と山野井さんのやり取りを

逐一、目を光らせてチェックしている

感があった。


それより何より、

たまに藤島のやつは仕事をサボって

山野井さんを目で追ってることがあったんだ。


決定的なのは。


「いい女だよな、山野井さんて。

スタイルはいいし、顔も美人だし」


と良く他の同期メンバーに話しているからな。


美人上司はとにかく仕事ができた。

それ故に、出世も早く、まだ若いのに、

社内のプロジェクトリーダーに

任命されていたんだ。


そんな元気溌剌で仕事バリバリのカッコいい

山野井さんと違って。

俺の仕事ライフは順調ではなかった。



調子のいい同期、藤島に俺は

仕事をやたらと押し付けられ、

残業続きだった。


「おい、山吹、お前、これ

俺の代わりにやっとけよ」


目の前にこれみよがしに積み上げられた

書類の山。


「データ入力頼むな!

俺は帰るから、あとよろしくぅ」


俺は、

上手く立ち回われなかった。

「ええ...」


「ええ?じゃねぇよ!居残ってやっとけよ」


「.....」


あんまり寝てない日々だった。


そんなある日の金曜日の深夜のこと。


俺は家に到着する前に倒れてしまったらしかった。


さて、冒頭に戻ると。


「起きた??山吹くん」


「え、あの...」


滅茶苦茶近距離で。

美人上司に尋ねられ俺はあたふたしてた。

相変わらず、首には手が巻き付けられていた。


「あのね、昨日、

家の前で倒れてたから拾って家に入れたの」


「なんか、寝息が聞こえてきたから

救急車は呼ばなかったの」


「それで、ベッドに寝かしつけてあげたわ」


「そ、そーだったんですね。

すみません、俺ったら....どうも疲れてたみたいで」


ここまで言うと。

美人上司は俺の首から手を離してくれ

起き上がった。


そして、怖い顔して言ったんだ。


「薄々気が付いていたけど、

藤島くんに残業押し付けられていたのね!?」


「は、はい」


「どーして私に相談しなかったの!?

倒れるまで頑張るなんて、馬鹿じゃない!」


なんて言葉を返したらいいか、

分からず。俺は言葉を濁していた。


首が楽になった俺は、ベッドから起き上がった。


「家に帰ります。ありがとうございました」


御礼を言おうとしたら

左手首を掴まれた。


「待って」


「え」


「今度のプロジェクトに関してのいいアイデアがなにかあったら教えて頂戴」


どーやら、美人上司なりに

スランプだったらしい。


それにしても。


俺はベッドから降りて辺りを見回した。


やけに散らかっている部屋だった。


整理整頓とかきちっとやんのかと

思ってた。完璧に見えたクール系だが

部屋の中を見るにつけ、なにかと抜けてるみたいだった。


キッチンの様子もちらりと見たが、

家事が苦手らしかった。


乱雑に洗われた食器が山の様に積み上がっていた。


寝て、体力が回復した俺。


料理とか洗濯とかしてあげることにした。



「やだ、なにこれ美味しい!」


俺が即席で作った朝ごはんのハンバーグを

美味しそーに食べてる。


洗濯後。


「干すのもやってあげましょうか?」


「ちょ...!!!

乾燥機があるから大丈夫よ」


月曜日。


俺は会社に出社した。

朝一、目撃した光景。

DQNな同僚、藤島を美人上司が叱咤していた。


「あ、でもぉ、それ

あいつが残業したいって言ったんすよ」


と最初のうちこそ、ごまかしていたが、

美人上司の鬼の形相に負けて、

やがて謝罪の言葉を連呼していた。


さて次の日の会議のとき。


俺は美人上司に新商品のプロジェクトメンバーとして抜擢されていた。


しかし、その状況、

藤島的に面白くないみたいで。


会議中、


「なんで、山吹のやつがここにいるんですか!?仕事できないし、無能っすよ!」


と言ったもんだから、美人上司が

またキレた。


「なによ、藤島くん。

文句があるなら会議室から出て行きなさい。

山吹くんが、いま、プロジェクターに

映ってる素晴らしいアイデアの考案者なのよ!

彼が居てくれないと困るのよ!」


「そ、そんな...」


このあと、すぐ。


藤島は会議室から出て行った。

美人上司の更に上の営業部長が

藤島を退出させたのだった。


俺はプレゼンを成功させた。


会議後、俺は美人上司に滅茶苦茶褒められた。


「どうもありがとう!」


それから、歳月が流れて。


ある日の日曜日の昼下がり。


俺の家の呼び鈴が鳴った。


ドアを開けると美人上司の山野井さんだった。


普段とは打って変わってモジモジしていた。


「ね、ねぇ。山吹くん」


「なんですか?」


「えーっと。非常に言いにくいんだけど。

マンション代、二軒分払うより

同棲した方がよくない?」



「あ、ま、まぁ、そーっすよね...」


このあと、ちょっとして

彼女は俺の部屋に転がりこんできた。

俺、まさかの美人上司との俺の部屋での同棲だった。



この事実に。


藤島はショックを隠しきれず。

退社して行ったのでした。


現在。

それにしても。


美人上司は相変わらず、家事が苦手で。


俺が家事全般を引き受けているのでした。


それが、ちょっと大変だけど。

幸せだから、まぁ、いいかと俺は思っている。









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