僕らが一人になる方法
白綾
Epilogue
ーーもういいよ
いつから運命は狂っていたのだろう。
『あの時』か、それともその原因となる出来事が起きたときか。もしかしたら生まれた時点でおかしくなっていたのかもしれない。母親の腹にいたときからとも考えられる。
いつからかはわからなくとも狂っていたことだけは否定できない確かなものだ。間違ったまま秒針は時を刻み続けた。一度も正すことを許されず立ち止まることもできない。苦しみ続けた人生。
そう、そんな人生だった。
あの日、あの時。周りには沢山の大人がいた。ぼんやりと覚えているのはそれだけ。正直、自分を腫れ物扱いしていた彼等には全くといっていいほど興味がなかった。どうでもよかった。別に慰めてくれるわけでもなくただ遠目で見ているそんな奴らなんていてもいなくても同じ。ただ、たった一人側に付き添ってくれた彼女の伝わってこない温もりを感じていられればそれでよかった。
ドアが開く。暗く重いその部屋の前に立った。中には入れなかったが何となくなにがあるのかを感じ取れた。
ーーみぃつけた
心の中でそっとつぶやくと自分ではない涙が頬を濡らした。
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