異世界召喚されたら奴隷だった…
燿(あきら)
第1話 告白
「す、すっ、好きです。付き合ってください」
高校1年の7月のとある日、放課後の屋上で同じクラスのアイドル的存在の
彼女は、中高一貫校である県立大原学園高等部に編入してきた外部生。
殆どの生徒が中等部からの繰り上がりの内部生が占める当学園において外部生の入学枠少なく、高等部からの編入組は成績優秀な生徒が多い。
高等部入学当初、「彼女の入学試験の成績は飛び抜けて優秀な成績だった」との噂が一部の生徒達の間で流れた。
彼女の整った容姿から、きっと頭脳も
あるいは、先生方の雑談の中で彼女の入試に関する成績の話が上り、それを小耳に挟んだ生徒が仲間内で噂したのが始まりだったのか…
今となってはその真相はわからない。
何故なら、入試の成績結果は生徒達へオープンにされないのだから…
従って、彼女の入試の成績が優秀だったという話に、信憑性は全くない。
しかしながら、彼女の期末試験の成績は総合1位だった。思わず
大原学園では各学年の総合成績30位までの者の名前が校内掲示板に貼り出される。
1学年の人数は300名程度なので、上位10%の者が成績優秀者として貼り出されることになる。
外部生には成績優秀者が多いとは言え、30位以内に入っている外部生は彼女を含め7名程しかいない。内部生の繰り上がり組の中にも結構優秀な生徒がそれなりに多くいるのだ。
ちなみに僕の総合成績の順位は184番。高等部1年生の成績としては中の下くらいの成績だ。ちなみに運動は得意ではない。体力だけは昔から目茶苦茶あるのだが…
そんな僕が告った。
はっきり言って、僕はイケメンではない。かといってブサメンでもない…、
とは思っている。
僕的観点から言わせてもらえば、僕は所謂≪いわゆる≫フツメンだ。
でも、彼女とは同じクラスで席も近く、比較的話す事も多い。
彼女は周りに人を寄せ付けないところがあり、気軽に話し掛けられる友達がいない。移動教室やクラスの共同作業をする時など、さりげなく僕がフォローすることがよくある。
そんなとき彼女は、僕に満面の笑みを向けて
「ありがとう」
と微笑んでくれる。
そんな彼女の女神の様な表情を見ると、視線を彼女の顔から動かせなくなり、思わず固まってしまう。
そんな僕の様子を不思議そうな表情をしながら、顔を横に傾けつぶらな瞳で僕を見つめる彼女の仕草に、僕は胸の鼓動を抑えることができず、悶絶してしまいそうな自分の心を必死に抑え、顔の表情を取り繕い、必死に耐える。
落ち着きを取り戻し、周りを見渡して見れば、彼女の愛らしい表情を見て、胸を抑えている男子生徒の姿があちらこちらに散見される。
中には、鼻血を流し、ハンカチで鼻を抑えている男子生徒も…
最も、彼女が表情を柔らかくするのはその時位で、普段は誰とも喋らず、独り静かに過ごしている。
彼女の整った容姿から、気さくに話し掛ける男子生徒もいるにはいるのだが、基本無視だ。
それでもしつこく話し掛け続けると、
「うざい、声を掛けるな。私に近付くな」
と
彼女は男子からはアイドル的な存在として、かなり人気がある。
だが、結構そっけなく冷たい態度を誰に対しても取るので、彼女に対する女子のやっかみは結構多い。
彼女はクラスの女子とも殆ど会話をしていないし、特に仲の良い友達もいないようだった。
そんな中で彼女と話しをよくするのは、クラス委員の水田真理さんと僕位だ。
僕は彼女が困ってそうな時位しか声を掛けないので、僕の話し掛けた言葉が拒絶されたことは殆どない。たまに話掛けてもスルーされることは、あるにはあるのだが、若しかしたら僕の声が彼女の耳に届いていなかっただけかも知れないと思っている。
彼女は男子の人気が高い。
高校生活が始まって早3ヶ月が過ぎたが、10人近い男子生徒が芦屋道華さんに告白したと、
ただ、その全てが
玉砕した男子生徒の中にはサッカー部の次期キャプテンとの呼び声も高い、女子生徒に人気のイケメン君もいたらしい。
そんな競争率の高い彼女への告白。
当然、玉砕することも覚悟したうえでの告白ではあるのだが…
学園内では僕が彼女と
思い切って告ってみた。
「ごめんなさい。 今は恋人とか作らないことにしてるんです。期待に沿えなくてごめんなさい」
「ま、待って、友達として、友人として今まで通りの付き合いは続けてもらえないかな」
「クラスメイトとして、今まで程度のお付き合いなら…」
「あ、ありがとう」
そのまま彼女は、これ以上の僕との会話を避けるように足早に走り去っていった。
僕的には、せめてメールアドレスの交換でもと、粘りたかったのだが、そんなことを言わせるようなスキを与えてなるものかとでもいうように、彼女は付け入る余地もなく素早く消え去って行ってしまった。
僕は独り寂しく、とぼとぼと教室に戻り、独り
「ヨースケ」
「わっ、美咲か、驚かすなよ」
幼馴染みの仙道美咲が独り教室にいる僕をたまたま見つけたのか話し掛けてきた。
彼女とは幼稚園からの腐れ縁。
地元の土地神を祭る由緒ある神社の神主を務める家の娘。
お互い住んでいる家も近く、小学校低学年位までは風呂も一緒に入る程、親密な仲だった。
しかしながら、中学、高校と年を経るに従って、男女故か、お互いに距離感ができてしまった。
最も、今でもそれなりに気軽に
彼女もうちの学園では美人で可愛いらしい女の子として人気が高く、友達からは幼馴染なら、是非、俺に紹介してくれと、何人かの友達からはしつこく頼まれたりもする。
もちろん、可愛い幼馴染の美咲をそんじょそこらのぼんくら共に紹介するつもりはないので全て断ってはいるのだが…
「振られたんでしょ!」
「うるせぇ、お前には関係ないだろ。それに、別に振られた分けじゃない」
「えっ、本当に!? じゃあ、付き合ってもらえることになったの?」
「ま、まーな…」
「う、嘘…。今まで、告った男子全員振られたっていうのに…」
「恋人じゃなくて、友達としてだけどな」
「それって…」
「今は恋人とか作らないことにしているんだって、今まで通り友達としての付き合いは続けてくれるよう頼んだら、今までと同じクラスメイトとしての付き合いならって言ってもらえた」
「そ、それって、今までと同じって…。今までは芦屋さんが何か困っている時にヨースケが何か手助けしてあげていただけでしょ。それって芦屋さんが困ったときの都合の良い存在であることだけを続けるってことじゃないの!?」
「う、うるさい。そのうち、メ、メールアドレス位交換するつもりだ」
「え~、未だにメル友にもなってないんじゃ、もう無理じゃない」
「そ、そのうちになる。今日は彼女急いでいるみたいだったから聞くことが出来なかっただけだ」
「ふーん、なら、私がなってあげようか?」
「美咲とはたまにメールし合ってるだろ」
「違うわよ、こ・い・び・と」
思わず、美咲の顔をガン見する。
すると、美咲の顔がみるみる真っ赤になっていく。
「バーカ」
突然、人に
「なんだあいつ…」
走り去る美咲を唖然と見送った僕は、独り寂しく
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