ローザのヒットボックス

春嵐

ローザ

「ローザ。退がれ退がれ。しぬぞ」


「おわあ」


 あぶなかった。しぬところだった。ゲームとはいえ、しぬのはやばい。しんでしまう。


「ありがと」


 彼はいつも、こうやって助けてくれる。


「おたがいさま」


 いつも彼はこう言う。

 優しいから、好きだった。彼のことが好き。


「さ、次行くぞ」


「了解でっす」


 でも、無理。ゲームだから。

 私はゲームの登場人物NPCで、彼はひとだから。さすがに次元の壁は越えられない。

 だから、ゲームを楽しむ。せめて、一緒にいられる間だけは。この瞬間だけは。彼と。

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