21回目
影神
敗戦国
「21回目」
この回数を重ねるまでに至った、
我々母国が先進国、核兵器所持国と、
対等な関係を築けるまでの、
犠牲になった愛国者は数知れない。
ここに、追悼の意を捧げる。
『第21回目T.H計画』
戦争で負けた国は今で尚、
勝った国の支配下に置かれている。
我々の国もそれらに属する。
家族を失い、土地を奪われ、
文化や、宗教すらも迫害された。
出生された子供の1/3は10歳まで生きられず、
10歳まで生き残った者ですら、
女児は体を売り、男児は労働力として、
日々苦痛を味わいながら何とか生きながらえる。
その先に待つのは、病気による死や、
過労による、死でしか無かった。
弱者はそう生きるしかなかったのだ。
だが、時をして、勝国の侵食を得て、
我が国には膨大な工場が建てられた。
そして、それらの労働力として、
民間人は扱われるようになった。
これらの変化により、
我々は現状よりも"まし"になった。
表面上は、、
工場の産業は機械を作るものだった。
それは後に我が国の兵器となりうるもの。
T.Hに深く関係してくる。
そこらじゅうにばらまかれた地雷で体を無くした子供達に、
勝国の者らは我々に哀れみを称し、我々が作る機械を、
義手や義足。はたまた、神経器官に繋げる処置をした。
これらにより、寝たきりの者らは自ら動けるようになり、
同時に、自らの作業や『仕事』に誇りを持ち始め、
勝国に対し、感謝や、敬う敬意すらも芽生えさせた。
民間は上手く洗脳されたのだった。
無論、それらは実験でしかなかった、
都合の良い様に踊らされただけだったのだ。
最初は失った者等への救済だったのだが、
徐々に状況は変わって行った。
ここで、普通に考えてみて欲しい。
先に地雷を撤去した方が利口じゃないか?
しかし、それをしなかった。
それは、"あえて"だ。
モルモットが居なくなると、
次は金で民間を買いだした。
まだまだ、一部の者らしか、
環境は変わらなかったからだ。
買われた者で帰って来る者はいなかった。
五体満足だった体は切り取られ、
結合され、いびつな者となり、
それらに対応しきれなくなった体は、
苦痛を得て、悲鳴を上げ、生き耐えた、
先進国で産まれた者どもは何も理解出来ないだろう。
食べ物が当たり前の様にあり、
飲み水も綺麗で、
働く場所もあり、
幸せな家庭を築く事も出来る。
皮肉だ。
同じ人間なのに、どうしてこうも違うのものか、、
勝国の実験は長年続いた。
そして、18回目の実験で"ソレ"は起きた。
機械との神経接続を成功させ、
プログラムによる、自我の消却と、
コンピューターによる、操作が可能になった。
勝国は喜んだ。
成功したと。
ロボットを造る方が早いって?
まさか、
パーツを一部接合させれば、
思うように動くオモチャが出来るんだぜ?
そんなコストや時間をかける必要がないじゃないか。
喜びも束の間、完成品は精神が壊れ、暴走した。
こうして、侵食者達は自らの作った兵器にやられ、
我々の守護神が誕生した。
研究技術は我々が犠牲者の分も、
大事に、我が身同様に扱った。
内容は決して、目が向けられる様な物ではなかった。
それから、改良を重ね、結合時に痛みや、洗脳と言ったもの、
それら全てを排除し、研究は独自の変化を遂げた。
人間と呼ぶには身体能力がずば抜けて、
機械と呼ぶには、あまりにも人間じみた、
New,Humanが誕生したのだ。
これらを武器に、改良を重ね、
様々な分野に対応出来る兵器を産み出した。
もはや、神と等しい存在となった。
我々は諸国と対等な国に産まれ変わった。
今度は我々の番だ。
今までの復讐を始めよう。
21回目 影神 @kagegami
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