第5話 まんま?ごはん?ちゅーとりある

四時間ほど眠っただろうか、流石にお腹が空いて目が覚めてしまった。夜中に起きた時は母乳も何も飲まなかったもんな。パチッと目が開き伸びをしていると、どうやら父も起きたらしいゴソゴソしている。


「イシュも起きたのか。おはよう。今日はなんて幸せな朝なんだ。最愛の妻と息子の顔を見て起きられるとは」


父、少し暑苦しいな。あと、もう少し静かに。母が起きてしまうじゃないか。

思わず、父に静かにしろという意味を込めて、人差し指を立て口にあててシーっとしたら、滅茶苦茶びっくりした顔をしている。

いや、指が人差し指だけじゃなく全部立っているのはご愛嬌だ。赤ちゃんなんだから仕方ないだろ。


「イシュ、それは静かにしろってことか?どこでそんな仕草を?」


さっきより静かになったのはいいけど、なんかブツブツ言い始めて怖い。

おっと、そうだ僕はお腹が空いているんだ。父よ、どうにか伝えてきてくれ。


「ぱぁ、まんま」


今度も上手く言えたな。


「パパと呼んだか?イシュ?あと、ママなら寝てるからな静かにって言ったのはお前だろう」


違う。ごはんのまんまだ。ん?異世界だからまんまじゃ通じないのか。

えーと、ご飯だから


「むぅー」


やっぱりご飯は難しい。


「もしかして、お腹がすいたのか?」


お、わかってくれたか父よ。


「あーーい」

「素晴らしいな。よし、乳母を呼んでこさせよう。待ってなさい」


そう言って、部屋を出ていった父。

母はスヤスヤ寝ている。良かった。騒がしかったが母は気にならない程度だったみたいだ。

さて、じゃあ寝るときに出てきたスキルを検証しよう。


ピロン


スキルーー箱庭を起動しますか

YES/NO


勿論、イエスだ!!



・・・ここは?何もない白い空間だ。

すると、頭の中に直接アナウンスらしきものが流れてきた。


―「箱庭」へようこそ。それではこれからチュートリアルを行います。


おお、有難い。箱庭が何なのか説明が欲しかったんだ。


―ここは、あなたのスキルの一つ。箱庭の世界です。

この世界は貴方の思いのままに自分の好きなように創れます。


好きなように?


―そうです。但し、レベルがあるので最初は少しの物からそして少しの範囲から。また、この世界に留まれる時間も低レベルの時は制限があります。基本この箱庭にいる時は現実世界の時間は経過しません。ただし貴方が現実世界にいる時は箱庭内はその分時間経過します。また、貴方が現実世界から持ってきた物は箱庭の世界に置いておくと箱庭の物と認識され時間経過します。持ち出したものに関しても現実世界で時間経過します。


ねえ、この世界で僕は魔法使える?


―使えます。貴方がイメージする魔法は全てお使いいただけます。


やった!


―ただし、現実世界では適正や魔力が無いと使えません。貴方の魔力は微々たるものですので、難しいと思われます。


うっそぉ。めっちゃ上げて落とされた。じゃあ、僕は箱庭の中なら神みたいな存在で、現実ではただの人って訳?


―解決方法はあります。


え!なに!?


―貴方が現実世界でも使える魔法道具を作ればいいのです。


そうか!作れるのか。


―魔法道具の材料はレベルが上がるごとに開放されるようになっています。


ええ~。最初から作れるんじゃないの?


―クエストをクリアし、品物を納品することでレベルが上がっていきます。また、納品する物や量で開放されるものが増えていきます。一概にレベルアップだけが開放条件ではないので、気を付けて下さい。


隠し開放条件とかありそう。


―あります。


あるんかい。


―頑張って見つけてください。


なんか逆に燃えてきた。昔、ゲームでもメインストーリー進めないで、ひたすら錬金レシピを全種集めて作ってたりしたんだよね。


―錬金術等もお使いいただけます。


まじか!!嬉しい。でも、僕一人だと手が足りないな。


―大丈夫です。初回クエスト完了後にアシスタント妖精を一人お付けいたします。


おお!でも一人か。


―その他についてはレベルアップで開放していきますので、順次増やして下さい。


なるほどね。そういう仕組みか。


―それでは、これからクエストを行って頂きます。ようこそあなただけの箱庭へ


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