第45話:6階層
一向に話が進まない……。
結局、みんなの住む家が決まったのは、日が暮れる間際になってからだった。
それでも、なんとか一通りの住む場所が決まり、エリシャの宿も二人ほど、従業員が増えてくれた。
これでなんの心配もなく、ダンジョン作成を始められそうだった。
そして、6階層へ。
ここは秋さんが作ってくれているダンジョンになる。
ダンジョンになる……。
ダンジョン……?
思わず首を傾げてしまう。
それもそのはずで、ダンジョンとは思えないほど、ここでは香ばしい匂いが漂っていた。
「へいっ、らっしゃい!」
秋さんが元気よく挨拶をしてくる。
その後ろにはいくつも並んだ屋台。
しかも、魔物たちが店員をして商品を販売している。
さ、さすがに獣人型の魔物はいるけど、こんな使い方をするなんて……。
でも、ここはダンジョン……。
「あの、ここは……?」
思わず聞かずにはいられなかった。
すると、秋さんはさも当然のように言ってくる。
「もちろん、お風呂の後はご飯ですよ?」
その言葉に僕は思わずツッコミを入れてしまう。
どこをどう見てもここはダンジョンに見えないので仕方のないことだった。
「いやいや、ここはお風呂でもご飯でもなく、ダンジョンなんだけど……」
「ダンジョン内でご飯を食べて、リフレッシュして、下の階層へ行ける。最高じゃないですか?」
「うーん、そうなのかな?」
「はい、もちろんですよ! だって、ご飯を食べないとろくにダンジョン攻略もできないですよ! ご飯こそダンジョン! ご飯こそ至高!」
熱弁されてしまう。
そうなると、本当にそうなのかも……と思えてくるのが不思議だった。
もちろん、そんなことがあるはずもないのだが……。
「そんなことあるわけないですよ!!」
僕が思っていたことを遥が代弁してくれる。
しかし、この流れを作ったきっかけは彼女なので、僕は苦笑をしてしまう。
まぁ、秋にこの階層を任せたのは僕だし、これはこれで今まで見たこともないダンジョンになった訳だし、僕としてはより長くダンジョンに居座ってもらった方が助かるのだから、これはこれでいいのかもしれない。
でも、こうなってくるとエリシャが作っているものもなんとなく想像がついてしまう。
このダンジョン自体が巨大な宿になりつつあった。
だから、エリシャもこの続きで考えるならおそらく宿の支店を作っているだろう……。
温泉と料理屋ができあがったのだから……。
そう想像が付いてしまう。
ただ、7階層にきて、思わずひっくり返りそうになってしまった。
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