第23話:第三階層
Dランクダンジョンになったからといって、僕の日常は大きく変わらなかった。
朝からダンジョンの様子を探り、どのくらいのDPが溜まっているかを確認する。
それが終わると遥やエリシャと一緒に朝食を取り、三人でレベル上げへと向かう。
ひっそりと作っていた三階層。
スラ妖精より更に高効率のメタルスラ妖精を相手に日夜レベル上げに励んでいた。
気がつくとすでにレベルは40に届きそうになっている。
いよいよ僕も本格的にダンジョンマスターと名乗っても恥ずかしくないかもしれない。
……うん、レベル上げは一切戦っていないので、実戦経験が乏しすぎる僕には、ダンジョンのボスとして戦うのは厳しいものはあるけれど……。
ただ、今のところはスラ妖精だけでDPの収入はまかなえている。
日によっては確かにマイナスになる日もある。
ただ、僕には配信の方もある。
そちらを合わせると大幅なプラスになっていた。
だからこそ、コツコツとダンジョンを広げることもできていた。
それだけではない。
ダンジョン外にあるエリシャに任せている宿も大盛況で、既に何泊も泊まる人で埋まっている。
更に予約も殺到しており、既に数ヶ月待ちとなっている状況だった。
つまり、ダンジョンの運営としては何も心配がいらなくなった状況。
ここまでいくと、もう僕は無理をしなくてもよさそう。
うっすらとそんなことを思っていた。
ただ、そうもうまくいかなかった。
二階層のボスとして配置しているダイヤスラ妖精が、ついに突破されるようになってしまった。
ただでさえ召喚するのに、大量のDPが必要になるダイヤスラ妖精。
これは何度も復活させるわけにもいかず、週に一度程の復活……で何とかまかなっていた。
ダイヤスラ妖精が常にいない……となると、集客に影響が出てしまうのでは……と不安になってしまう。
ただ、そんな心配も杞憂に終わっていた。
その理由は僕たちがレベル上げに使っていた三階層の魔物、メタルスラ妖精にあった。
今までより高効率の狩り場が現れたことで、一転。
更に僕のダンジョンは賑わいを出してしまったのだ。
僕たちの狩り場が……、と少し残念に思ったものの、こればっかりは仕方ない。
同じダンジョン内に作っているのだから、そういったこともあるだろう。
◇
:いつの間に三階層ができていたんだ?
:今まで以上の効率の狩り場なんだろう?
:ダイヤスラ妖精が守っていたから気づかなかったんだな。
:もしかして、次の階層も走破したら――
:急げ! 前回も狩り場はすぐに埋まってしまったんだ
:ダンジョン近くの宿に住んでる俺に死角はない
翌日、僕は慌てて三階層を整えていた。
既に狩り場となっている三階層入り口には冒険者がたくさんいる。
まだボス部屋ができていないのだから、早急に準備をしていかないといけない。
「ど、どのボスを召喚したら良いのかな? えっと、ダイヤスラ妖精ですら突破してくる人たちだから……」
「もう普通のSランクモンスターを召喚するしかなさそうですね」
「やっぱりそうしかないよね……」
遥の意見を聞きつつ、ボスの魔物を召喚する。
巨大なドラゴン――。
とりあえず強そうな魔物を優先して、召喚していた。
―――――――――――――――――――――
レベル:60 種族:レッドドラゴン(ランク:S)
HP:25,000/25,000 MP:1,000/1,000
筋力:500 耐久:450 魔力:350 精神:300 速度:300
スキル:【咆哮(LV:10)】【威圧(LV:10)】【ブレス(LV:10)】【索敵(LV:10)】【火炎耐性(LV:10)】
経験値:10,000 お金:25,000円
―――――――――――――――――――――
魔物らしい魔物といえる。
ただ、かなり巨大な体格のせいで、最初に召喚した際は部屋に埋もれてしまった。
普通のボス部屋だとサイズが足りないようなので、顔だけ通路に出している、面白おかしい光景が広がってしまった。
「さすがにこのままだとかわいそうだよね?」
次の階層に行かせないだけなら、部屋を完全に塞いでいる今の状況はとてもおいしい。
ただ、このドラゴンも生き物なのだから身動きが取れないのはかわいそうだった。
「ドラゴンが動けるだけの部屋か……」
ただでさえ、部屋を広げるのはDPを消費する。
Sランクの魔物であるドラゴンを召喚した上で、部屋も大きくする。
そして、四階層も整えていかないと行けない。
そう考えるとDPが全く足りなかった。
ダンジョンに冒険者が来るようになったら、なったでまた別の問題が出てきてしまうんだな……。
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