第641話 不死職人の問題

お知らせ

 アブドゥヌイの街で、兵器製造に関わっていない住人が7割としていましたが、よくよく考えたら現地標準の武器を作っている者たちが相当数いるはずだと気付きました。

戦争で使うだけではなく、魔物から身を護る武器が必要な世界だからです。

その中には、現代兵器や派生魔導兵器製造に転用された者たちも当然いますが、全く関係なく過ごしていた人もいるだろう、そしてその生産力が無くなると生きられない世界だったと気付いたわけです。


 そのため、第639話の7割という記述を5割に訂正させていただきました。

うっかりミスです。すみません。

この話は、そのフォローのための加筆となります。

短いです。

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 アブドゥヌイの街を制圧し、地球の現代兵器の製造を二度と出来ないようにした。

魔導砲などの派生魔導兵器の製造もこの街だったため、それらの製造も止められた。

他に同様の街が無ければ、新たな現代兵器が齎されなければ、危険な技術の流出は止められたと思う。

今後アブドゥヌイの街は、この世界に見合った生活物資などを製造する街となる。


 後から気付いたのだが、この街には剣や槍といった武器製造の鍛冶師も存在していた。

街では鉱山から出た鉱石を精製し金属を取り出しているため、その金属を加工する鍛冶も盛んだったからだ。


 今回、兵器製造をしているか否かで、昇格させる不死者アンデッドの人選をしたために、それらの者たちが人選から弾かれていた。

この世界は、街と街の間を魔物が闊歩する世界だ。

街が魔物に襲われることもある。

剣や槍のような武器製造を禁止してしまっては、一般人の身も護れない事態となってしまう。

それは俺の本意ではなく、技術流出にも関係がない者たちなので、彼らも昇格させて残すことにした。


 このことによりアブドゥヌイの街の人口の3割が新たに救われ、合計8割が不死職人という種になった。


 ここで気になったのが、職人の家族たちだった。

職人の妻、職人の子供、街で働いていれば、当然家族がいてもおかしくない。

妻と子供が不死職人という種だとなると、なんだか違う気がした。

そして、大問題なのが、子供は成長するのかということ。

夫婦間のことも気になる。 新たな子供は産まれるのか?

永遠に子供、永遠に妊婦さんなんて気が狂いそうだ。


 俺が望んだのは、「みんなが元の生活を取り戻せるように」だった。

元のまんまが一生だったかもしれない……。


「死者を生き返らせたのではなく、死者に生きているように活動させているだけなのか?」


 不死者アンデッドの上位種、特殊個体であるならば、それは死んでいるという事。

俺は神ではないので、全員を不死にして生き返らせたとは思えない。

デュラさんによると、不死者アンデッドも人生の記憶というものは積み上げられていくようだ。

それは身体の在り方が違うだけで生きているといえるのかもしれない。

長寿なだけならば、エルフなんているわけだし。


 そうそう、エルフ。

この世界にもエルフやドワーフがいた。

なんと、アブドゥヌイの街の鍛冶師の半数以上がドワーフだった。

その技術は捨て難い。

そこは救って良かったのではないかと思う。

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