第468話 お見合い作戦2

 お見合いを仕切り直しにしたところ、男性の参加希望者が増えた。

先のお見合いを広場で開催したのが仇となり、目撃者が我も我もと参加希望を表明したのだ。

5万も兵が居れば、当然独身者も多い。

そんな独身者を全て受け容れていたら、お見合い自体が破綻する。


 そこで参加資格を絞らなければならなかった。

一般兵の皆さん、ごめんなさい。騎士以上ということにしてもらいます。

妻帯者の方、ごめんなさい。初婚に限ります。


 元々、貴族家や陪臣家の子息子女であれば、それなりの地位の相手との結婚を希望する。

そこで対象となったのは、平民上がりの騎士だった。

だが、彼らも出世して爵位を得ようという野心がある。

婿養子に入れるかもしれないと思えば、このようなお見合いで妻を娶ろうとは考えなかった。


 そんな振るいに掛けられても、残った強者がお見合いに参加することになった。

その数50名。そうなると、現役娼婦たちも黙っていなかった。

生娘限定ではなく、自分たちも参加させろと。


 そして、54名の男性と250名の女性によるお見合いとなってしまい、収拾がつかなくなってしまった。

本末転倒だと言えよう。


「分けましょう」


 カドハチの一声で、嵐太たち4人と、騎士50人が分離された。

最初にお見合いを受け容れた女性と他の娼婦たちが分離された。


「つまり、第1回が嵐太たちで、第2回以降が騎士たちになったということか?」


 なんのことはない。元通りのお見合いと、別枠の2回目以降の開催が決定しただけだった。

結局、集団お見合いというものが珍しかっただけで、お祭りに参加したかっただけのようだ。

特定の相手が目当てで、どうしてもということではなかったのだ、


 元々、対象女性が入れ替えで来た初心者娼婦だったため、顔馴染みも居なかったことが幸いした。

参加騎士たちは、馴染みのお気に入り娼婦が参加する第2回以降でも大満足のようだ。


 そして、今後のテンプレとなる第1回の集団お見合いが開催された。

翔太、星流、マイケル、嵐太の4人と、25人の女性たちが参加する。

女性が19人から増えているかと思うが、それは女性騎士が参加したいと申し出たからだ。

5万も兵がいれば、適齢期の女性騎士も含まれていたのだ。


 そして、女性騎士であれば彼ら4人がどのような地位に居るのかぐらい、把握出来ている。

所謂玉の輿狙いだろう。

その積極性、お互いに気持ちが通じるのであれば有りだ。

愛が無ければ癒せないが、愛があれば良いのだ。


 そしてお見合いが始まる。

まず、お互いを知るためのプロフィールが全員と交換される。

そして、お目当ての相手と歓談するアピールタイム。

その後女性側から意中の男の前に赴き、男はその中から最終候補を決めるというパターンだ。


 嵐太お気に入りの女性騎士が翔太に流れたり、女性が1人も来なかったマイケルが逆告白で意中の人をゲットするなどのハプニングも挟みつつ、全員がカップルとなることが出来た。


 だが、ここで即結婚というわけにはいかない。

お付き合いをして、機が熟したら結婚ということにした。

癒しを開始するかの判断は、本人たちに任せる。


 その物珍しさで、第2回、第3回とお見合いは開催され、良客の騎士にどうアプローチしようかと悩んでいた娼婦にも好評だった。

まず男性参加者が発表され、そこに女性が手を挙げて参加するようにしたからだ。

今後もお見合いは続いて行くだろう。


 そして一番結婚が早かったのがマイケルだった。

マイケルがべた惚れだったため、逃がしたくないと結婚に至った。

可愛らしい小柄の女性で、ほんわかした癒し系の奥さんだ。


 そして嵐太もそれに続く。

彼は、人生で一番モテたにも関わらず、美人女性騎士に目が移り、危うく全員を失うところだった。

それでもけなげに寄り添った平民女性を選び、結婚した。


 だが、翔太と星流は、相手と直ぐに別れた。

彼らの行動が自分勝手すぎたからだ。


 翔太は日本でもモテていたため、特定の恋人を作るというタイプではなかった。

もちろん結婚にもむいていない。

そのため、結婚に対する価値観の違いであっさり別れることになった。


 星流は、その言葉足らずなチャラい性格が合わずに別れたようだ。

星流だけは、その特異な飛行能力が周知されていたため、その才能に寄って来た女性が多かったのだ。

本人を見ずに才能を見た結果、性格の不一致というやつで別れたのだ。


 結局、翔太、星流、翼の3人は定期的に娼館通いということになった。

おそらく、この3人は元世界のしがらみが強く、この世界の女性の結婚願望には付いて行けないものと思われる。


 彼らが日本に帰れないと知った後、この世界に骨を埋める覚悟でもしないと、結婚は考えられないのかもしれない。


 赤Tのように短絡的に女奴隷を買って、なりゆきで結婚の方が、楽だったかもしれないな。

赤Tもあれで案外上手く行ってるんだよな。


 翔太たちにも、いつか帰れないことを伝えないとならない。

召喚は上の世界から下の世界へ落ちる一方通行。

もう、この世界に呼ばれる被害者を増やしたくないな。


「そうだ。王城の召喚の間、今あそこの警備が薄くなってるな」


 アレックスと主力が要塞都市グラジエフに常駐している今こそ、王城への潜入が容易なのではないか?

洗脳されている王や、エレノア、シャーロット姉妹を救出し、召喚の間を破壊もしくはその召喚装置を奪えば、次の召喚が出来なくなる。

これは検討の余地があるぞ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る