第331話 不可解な突撃
Side:
『ムシマモノガムカエニイク』
『ヨロシクタノム』
腐ーちゃんの帰還に
まだ俺が
そのため、虫魔物の領空通過申請が初めて行われることとなった。
ところが、そこで少し問題が発生した。
王城へはキバシさん経由の即時通信で申請出来るのだが、それにより虫魔物が領空を通過するというお達しが国内に広まるまでには時間がかかるのだ。
『西の魔の森の最前線まで情報が伝わるまでには5日はかかりますな』
そこから全部隊に通達が広まるまでにはプラス1日だろうか。
『尤も、高空を通過する虫魔物の迎撃など、勇者様しか出来ませんがね』
なるほど。つまり、
いや赤Tに金属バットも出来るな。
金属バットの所属がどこになるかわからないけど、おそらく
彼は赤Tと共に未だ最前線にいて、そこらへんの手続きがなされていなかったが、
話を戻すと、
せっちん、赤T、金属バットも、虫魔物と飛竜が俺たちの移動手段だと認識してくれている。
既に何の問題も無かった。
確かに情報伝達の遅れで通達が広がるには時間を要するが、伝わっていないくても大丈夫だったのだ。
今回のヘラさんが腐ーちゃんを迎えに来るという話も、王城の兵が降下してくる虫魔物を安全だと認識してさえいれば良いだけだった。
つまり、キバシさんで申告するだけで問題ないとなったのだ。
完全に取り越し苦労だった。
これによりヘラさんと腐ーちゃんの空の旅は安全が確保された。
☆
ヘラさんが腐ーちゃんを迎えに行くまでに2日程度かかる。
その間に
『アーケランド軍が、国境砦に突撃して来ました。
炎の勇者と赤の勇者が我が軍と共に迎撃し、敵1300を撃滅したとのことです。
アーケランドの勇者は現れず。勇者は現れずです』
『
敵の指揮官は無能か?』
そこから
知の勇者と言われるサンボーの所業とは思えない杜撰さだった。
☆
Side:温泉拠点 道の砦
その異常な突撃は道の砦に対しても行なわれていた。
『味方はお逃げなさーい♡』
ドーーーーーーン!
オトコスキーの魔法1発で数百人の
だが、その後から、散発的に次々と
どうやら、先に突撃した兵がどうなったのか理解出来ないまま、順繰りで突撃させられているようだ。
無能な指揮官による無策な突撃であっという間に3千の兵が消えた。
いや、まるで兵を消費するための突撃だったような感じだ。
先に突撃した兵がどうなったのか見たならば、次の兵たちは突撃なんて出来るものではない。
つまり、前の兵がどうなったのか理解出来ない距離を置かれていたということだ。
しかも兵を小出しにしての各個撃破を招いている。
その意図は兵の浪費。
わざわざ
「サンボーの仕業か!」
兵を殺したのはオトコスキーだが、それを命じた俺も気分が悪い。
オールドリッチ伯爵なんかは良識人であり、友好関係でもあった。
オトコスキーが消し飛ばした兵にも家族がいるだろう。
こんな惨たらしく消費するような死に方をさせて良い人たちではない。
まるで人の命を数字でしか把握していないかのような所業。
「どうやらサンボーの奴と俺は相容れないようだな」
甘いと思われるかもしれない。
嫁や仲間たちの命に関わるから戦っているが、避けられる戦いならば避けたい。
この殲滅は必要な戦いだったのだろうか?
共存共栄は無理なのか?
力を見せつければ、戦う意欲を失って、戦わなくてよくなるのではないのか?
それらを全て無視して殺されるために兵を突撃させている。
「バーリスモンド侯爵の時のように、元凶を駆逐しないとダメなのか……」
この突撃を命じているサンボー、そして大量の兵を投入してくる
☆
Side:国境砦 サンボー
順調に
あと何回援軍を要求できるだろうか?
国境守備の軍や対皇国を想定しての軍までは動かせないだろう。
それ以外の予備戦力はいかほどだろうか?
「援軍要請を。
国には兵を小出しにするなと伝えろ」
「残念。もう終わりだってさ」
俺の胸から刃が突き出していた。
その柄を背後のゆきりんが握っていた。
「ゆ、
「
この兵の数で攻略できなければ、もういらないってよ♪
それにあんたはダーリンの仇の1人なんだからね?」
ゆきりんはロンゲの彼女だったな。
ロンゲが再起不能になったことを恨まれていたか……。
そこを
迂闊だった。
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