第332話 サンボーの思惑(誤解)
Side:転校生
俺はその攻撃の意図がわからないまま、
「サンボーめ、何が目的なのか?」
俺の胸に痛みが走る。暗黒面へと引きずり込まれる痛みだ。
まさかこれは俺の精神に負荷を与えるための精神攻撃なのだろうか?
そういや、俺が命じてオトコスキーが
それが俺を暗黒面に引きずり込むということか!
サンボーは、どこから俺が魔王のジョブを持っていると気付いたのだ?
この異常な攻撃は俺の魔王化を促進するための所業ではないのか?
まずい。サンボーはそこまで考えて攻撃しているのか!
これは嫁たちに癒してもらうしかない。
幸い、投入する軍が尽きたのか、新たな攻撃は止まっている。
◇
嫁に癒してもらうことで魔王化は阻止できたようだ。
不可解な突撃は、あれ以来行なわれなくなった。
どうやら、温泉拠点への攻撃は止まったようだ。
意味がわからない。
その代わり、
この方針転換は指揮官が変ったということだろうか?
サンボーが失脚したのかもしれない。
尤も、俺だけをターゲットにしたかのような、あの魔王化攻撃は、他者には理解できないことだろう。
サンボーに会って話を訊きたい。
いったい何を考えてあの攻撃をしたのだろうか。
◇
久しぶりにカドハチ便がやって来た。
どうやらオールドリッチ伯爵がメッセージを託して来たということのようだ。
そうでなければ、
カドハチ便は馬車1台の非武装。
とりあえず外壁の内側広場へと引き入れた。
「爆発物や毒物の反応なし。
魔道具反応もないよ」
瞳美ちゃんがスキルで馬車を鑑定した。
これで危険物は持ち込まれていないと確かめることができた。
「よし、使者には内壁外の応接室へと入ってもらえ」
ベルばらコンビが応接室へと案内して来たのはカドハチ本人だった。
「伯爵様より、約束を違えて申し訳ないとのお言葉です」
カドハチはオールドリッチ伯爵の使者であることを名乗り、伯爵からの謝罪の言葉を口にした。
どうやら伯爵自身は本国との柵で動けないようだ。
「あの使者の言い分を聞けば、伯爵とは別の命令系統からの横やりだろうと承知している。
だが、アーケランド王国は、既に我らとは交戦状態に入ったと思うが、それに関する要件か?」
「はい、全てはエール王国討伐軍司令、スティーブン卿の独断だとのことですよ。
本当かどうかわかりませんけどね」
カドハチ、使者のくせにそんなこと言って良いのかよ。
それにしてもスティーブンって誰だっけ?
「スティーブン卿?」
「サンボーのことよ」
クロエが間に入って説明してくれた。
いつのまにか、俺の後ろに来ていたようだ。
「その
なにそのトカゲの尻尾切りは。
いや、さすがに3千人もすり潰す所業は許されなかったということか。
面倒なやつが引き下がって、ある意味良かったかもしれない。
「伯爵の見解では、殺されたんじゃないかと」
「え?」
「さすがに5千人も兵を失ったら責任問題ですからね」
そういや、オトコスキーが魔法1発で追い払った軍団はどうしたんだ?
まさか
そっちでも2千も失ったとは、赤Tたちの仕業か?
そちらでも兵をすり潰す理由がわからない。
そのために命を奪われたとしたら、いったい何のためにやったことなんだよ?
「それで、手打ちとしろってことなんですか?」
「おそらく」
どうやら、これでこの温泉拠点への攻撃は終わりということか。
サンボーが死んだと伝えて来たが、おそらく裏で生きているに違いない。
「アーケランド王国は、スティーブン卿の独断による被害を賠償する用意があるそうです」
こちらの被害は、戦闘奴隷の怪我とゴブリン隊の死者だな。
しかし、戦闘奴隷の怪我は治してしまったし、ゴブリンという魔物の被害弁済は請求できない。
何の得もないではないか。
例え請求できたとしても、どうせ
ここは
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