第325話 アーケランド軍殲滅1
T-REX、オケラ、翼竜を遠隔召喚で不可侵領域に設置した砦まで送り届けた。
眷属による偵察結果によると、
後方からは馬車隊が次々と到着しつつあり、兵を降車させると南へと迂回させているようだ。
さらに、工兵隊が同行していて、砦から南にあたる魔の森の木々を切り倒し始めた。
遮蔽物として戦いに利用するよりも、馬車が通行できるように道を通すことを優先するつもりのようだ。
そこでT-REXは砦の南の防壁の切れる場所に、オケラは砦から東の道1km地点に、翼竜は砦の正面上空に配置することにした。
T-REXには南へと迂回して来ている部隊の足止め、オケラには
そして中央はキラトの配下が砦より出陣して叩く。
北へと廻った部隊は、どうやら竜車や走鳥から降りて徒歩のようだ。
そちらは野良の魔物が勝手に攻撃している。
そして、この速度ならばGKの配下が攻撃できる。
その恐怖を味わってもらうとしよう。
圧倒的な戦力で攻撃して勝てないことを解らせて、撤退を促す感じで良いだろうか?
降伏勧告は誰に……。
しまった。誰も人語を話すことが出来ないではないか。
となると……。
コンコンはだめだな。見た目と口調で敵に嘗められる。
不二子さんならば妖艶な外見で嘗められることはあっても、魔法攻撃でビビらせてからならば、なんとかなるか。
「不二子さん、敵軍に降伏勧告に行ってくれない「嫌よ」か?」
不二子さんに頼むと、食い気味に拒絶された。
「戻ってきたばかりなのに、また帰れって、私もイチャイチャするの♡」
いや、しないから。
いくら人型の眷属でも、手を出したりはしないんだからね。
房中術で手助けするだけにしてください。
「困ったな。適任者がいない」
砦にはゴブリン隊が行っているので、本来ならばキラトが適任なんだが、現状ではキラトがこの温泉拠点の防衛の要となっている。
あの戦闘力ならば、新たな勇者がやって来ても対処可能であり、手放すことが出来ない。
かといって、女子たちの誰かを派遣する訳にもいかないだろう。
この戦いは、女子たち仲間の命を守る戦いなのだ。
危険に晒してどうする。
「キバシさんで良いんじゃない?」
結衣はそう言うが、キバシさんには重要な任務がある。
それは
この世界、情報伝達が不便過ぎる。
それで散々誤解されてトラブルに巻き込まれているのだ。
いや、その情報伝達の不備を逆手にとって利用している面もあるか。
何にも裏と表、良し悪しがあるということだな。
「キバシさんは腐ーちゃんにつけて
「たまご召喚して2号を呼べば良いのよ」
「そうか。眷属卵召喚で出るか」
いや、待て。今日の【たまごショップ】のラインナップを確認していなかったぞ。
キバシさんよりも戦える話せる眷属が出ているかもしれない。
眷属枠は俺のレベル数に依存する。
キバシさんのような戦えない眷属で枠を使うのはあまりお勧めできないのだ。
「いや、眷属卵だと孵化まで時間がかかりすぎる。
【たまごショップ】をチェックしよう」
【たまごショップ】は、たまごが孵るまで2時間だ。
眷属卵は半日以上だから、眷属卵よりも早い。
ここは【たまごショップ】に期待したいところだ。
『獣の卵、獣を操れるかもしれないやつ 30万G』
『鳥の卵、航空攻撃が出来るかもしれないやつ 10万G』
『鳥の卵、凄く美味しいかもしれないやつ 1千G』
『★悪魔の卵、かなり危ないかもしれないやつ 200万G』
今日のラインナップは、以前に出たのと似通っていた。
だが、最後の★付きは何だ?
そういや魔王のレベルが2に上がったんだった。
それが影響しているのかもしれない。
「どうだったの?」
結衣の問いかけに俺はラインナップを説明する。
「最後の危ない感じがしないか?」
「それより美味しい鳥の卵は確定ね」
それはノドグロが出たのと同じパターンだからな。
食用で美味い鳥肉が手に入るということだろう。
「はいはい。
それより、他のやつなんだけど」
たまごショップの課金は、結衣たち妻ーずに判断を委ねている。
俺一人で判断すると課金の沼に嵌りかねないからだ。
今は
現金収入を絶たれて節約せざるを得ないかもしれないのだ。
「★付きってやつのことね。
頼んでみるしかないわね」
結衣も判断出来ないため、一度試してみるしかないという見解だった。
「他はどうしよう?
航空攻撃の鳥は翼竜が出たやつと同じだけど、今回はランクアップ券が無い。
獣の卵は軍団を率いそうな雰囲気がある」
「悪魔の卵の200万Gに比べたら、誤差の範囲でしょ?
全部買っといたら?」
結衣が歯止めになってなかった。
結衣さん、それが課金の沼ってやつです。
「麗はどう思う?」
「今回は戦力増強が必要な状況なんだから、躊躇う必要ないと思うよ?」
それもそうか。
「それじゃ、全部購入ね」
さて、2時間後が楽しみだ。
だが、俺たちがそんなことで時間を費やしている間にも、
「あ……」
気付くと
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