第278話 眷属チームを編成する3

 コンコンの思わぬ実力発揮に、俺は清々しい朝を迎えていた。

まさか、あんなことやこんなことを前戯でするなんて……。

俺は目から鱗、嫁たちは絶頂に継ぐ絶頂だった。

そしてコンコンの房中術は、俺の息子の回復までやってくれた。

コンコンのサポート、マジで最高だった。


「2人になったのに身体がもたない。

次の嫁を早急に引き入れるべき」

「いっそコンコンを被害担当にしましょう!」

「確かに」


 嫁たちが何か画策しているようだが、俺には聞こえなかった。

コンコンはMP切れで倒れていて蚊帳の外だが、何やら重要な役目が決まったようだ。


 とりあえずお風呂セットとコンコンを抱えて温泉に行き、汚れを落とす。

当然、嫁たちも一緒だ。嫁だから混浴しても問題ないのだ。

以前と比べたら俺も進歩したもんだ。

コンコンは……パワーレベリングのオマケだ。嫁ではない作業だ。

いや、行為には及んでないんだからね。


 ◇


 温泉から帰って来ると、俺はさっさと着替えて【たまごショップ】のショップリストをチェックすることにした。

嫁たちは別行動となる。女性はいろいろと身支度があるのだ。

コンコンはベッドにそのまま放置だ。

昨夜の戦いで酷い事になっていた寝室は、入浴中にメイドさんが【クリーン】やシーツ交換をしてくれていたようだ。

ありがたいことだ。


「さて、【たまごショップ】はどうなっているかな?」


 【たまごショップ】の品揃えは、日毎に更新されるはずだった。

それがどうのように更新されるのかは、実際に利用してみるしかなかった。

前回のリストは4つ。そこから3つは課金して購入した。

その残り1つに新たなリストが加わるのか、全て新しくなるのか、数が変るのかは今日ショップリストを見るまで判らなかった。


『虫の卵、運搬能力が凄いかもしれないやつ 5千G』

『魚の卵、凄く美味しいかもしれないやつ 1千G』

『鳥の卵、航空攻撃が出来るかもしれないやつ 10万G』

『悪魔の卵、魔法が強力かもしれないやつ 20万G』

『スキル増加券 20万G』

『ランクアップ券 30万G』


 竜の卵は消えて新たなリストが出るのか。

しかも数が増えている。これは数もランダムということだろうか?

明日も確認する必要がありそうだ。


 そして4つの卵系と2つの券がリストに出たか。

スキル増加券はスキルの増加が確定のようだ。これは使えるな。

虫の卵は運搬系って、まさに欲しかった逸材。しかも安い。(金銭感覚が麻痺している)

だが、魚の卵は、どう見ても食用の魚だよな?

鳥の卵は航空攻撃が出来るとか、まさに他国には無い強みになるぞ。

だが、航空攻撃能力は数が欲しい。1羽だけでは戦力として厳しいだろう。

同じやつを揃えるとなると、改めてリストに載るのを待つのか、眷属卵で自由に召喚出来るのか、そこが問題だな。

キラトとコンコンは眷属召喚不可能のレア種だったんだよな。

悪魔の卵はまさに必要としていた後衛魔法職。

これは買いだろう。


「また課金?」

「今度は何を買うの?」


 結衣と麗が身嗜みを整えて俺のところにやって来た。

この世界の化粧品はあまり種類が無く、乳液と紅を指すぐらいだが、元が良いので2人とも綺麗だ。


 俺はその顔に見とれながら、ショップリストを読み上げる。


「魚の卵以外は全部買おうと思って」


「え? 魚の卵こそ買おうよ」


 結衣が意外だと言いたげな顔をする。

そういや、結衣は食べ物系に目が無かったな。


「美味しい高級魚が孵ったら、食卓が豊かになるよ?」


 調理担当からしたら、美味しい食材は使ってみたいのだろうな。

値段は1千G、食料換算だから10万円ぐらいか。

シャインシルクの売り上げからしたら、大したことないか。

いや、危ない危ない。これが課金の罠だろうが。


「でも、ハズレもあるし、課金しすぎるのもどうかと」


「80万5千G使うのに、1千G節約して何になるのよ?」


「仰る通りです」


 意外と言えば意外だが、結衣がブレーキ役になっていなかった。

むしろそっちの80万5千Gにクレームが入る事を覚悟していたのだが……。

まあ、億単位のお金があるんだから、これぐらい大したことないか。


「6つ全部購入で。スキル増加券は悪魔の卵に、ランクアップ券は鳥の卵に使う」


 俺がそう宣言すると、アイテムボックス内に収納されていたお金が減ったというメッセージと共に、50cm大のピンポン玉状の虫の卵、半透明なやはり50cm大の魚の卵、鶏の卵を50cm大にした鳥の卵、例のトゲトゲのある50cm大の悪魔の卵が目の前に現れた。

どうやら【たまごショップ】の卵は全て50cm大のようだ。


「ああ、魚の卵って淡水か海水かどっちの魚だ?」


「魔物だからどっちでも大丈夫じゃないかな?」


 とりあえずデカそうだし魚の養殖場に入れるか。

あそこは海水だけど、結衣が言うように魔物の魚ならば問題ないだろう。

今まで養殖用に卵召喚した魚は種類がわかっていたから合わせていたけど、モササウルスとかリバイアサンは孵化した後は海水で、生活は淡水とどっちでも大丈夫だったからな。

この大きさの卵ならば魔物の魚だ大丈夫だろう。


「よし、空いてる養殖場に入れておこう」


「美味しい魚、楽しみだね」


 だが結衣よ。また『かもしれない』で残念な結果かもしれないんだぞ。

いや、コンコンもあれで残念じゃなかったのか。

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