第269話 誤解も解けたし帰るか
お知らせ
サンボーがアーサーの正体が委員長だと忘れている描写が、その原因の匂わせも無く不適切だったため、間違った記述と誤認され得る状態でした。
そう取れるということを失念してました。すみません。
明確に忘れてしまっていると理解出来るように加筆修正しました。
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赤Tが救助され、命の別状が無くなったことを確認すると、俺は青Tとともに温泉拠点に帰還することにした。
赤Tも連れの騎士たちに隣国の安全地帯まで運ばれることだろう。
ここは魔の森の中。さすがに無防備な状態で夜を過ごすのは危険だった。
カメレオン1は姿を消し、また赤Tの肩に乗ることにしたようだ。
それを隣国の騎士たちも咎めることはなかった。
赤Tがカメレオン1をテイムしていると証言したからだ。
これで赤Tの様子を伺う手段を失わずに済んだ。
赤Tが念話出来ればもっと便利なのだが、そう贅沢は言ってられなかった。
ヘラクレスオオカブトが脚を失っていたが、ギリギリ人を抱えられる本数は残っていた。
ヘラクレスオオカブトは、青Tを丁寧に掴むと空へと昇った。
俺もカブトンで続く。
「赤T、親書を頼みます」
青Tが赤Tに声をかける。
それはまた親友に戻ったかのような親しみを込めた雰囲気だった。
「ああ、任せろや」
横たわったまま赤Tが答える。
何か思う所があるようだが、親書の件は請け負ってくれた。
「なあ、ロンゲは本当に殺ったんだよな?」
ロンゲは穴の底で雷化がとけ、実体化して水底に沈んだ。
黄金鎧の重さが仇となったのだ。
そこを火魔法で爆破したため、生きているとは思えなかった。
実は穴の底は確認出来なかったのだ。
半分以上崩落し、埋まっていたからだ。
本来ならば、穴を掘り、確実に死んだことを確かめるべきだが、そんなことをしていれば、俺たちはここで野営となる。
未だ安全を確保出来ていないこの場に留まるのは得策ではなかった。
魔の森の夜とはそれだけ危険なのだ。
そのため、追い打ちで穴を埋めることにした。
さすがにロンゲも生きていられないはずだ。
地面のあちこちには黄金鎧の一部が残されていた。
ロンゲの雷化した雷が、漏電したからだ。
それはエネルギーとしての電気と、ロンゲ自身の一部だったのだ。
つまり、ロンゲの本体が漏電して流れ出ることが出来れば、それこそそちらで実体化したはずだった。
なので、穴の底に居たのが本体で間違いないと思う。
スライムのように分裂して生きてられれば別だけどね。
「本体は間違いなく倒したはずだ。
ロンゲが分裂して生きてられない限りね」
俺はその可能性は無いと思いながらも、そう答えた。
赤Tの言動がフラグの「やったか?」にならなければ良いがと思いながら。
「なんだそりゃ?
スライムみてーにか?」
赤Tも冗談だと思ったようだ。
それほど有り得ないことのはずだった。
「そうだ。バカバカしい話だろ?
だから倒したと思う」
「そっか」
赤Tは
真の仇は王国であり、ロンゲのような刺客まで送って来た。
それが真実として赤Tの中で固まりつつあるのかもしれない。
「そろそろ危険な時間帯になってしまう。
早々に撤退するべきだ」
「そーだな」
「赤T、またな」
「ああ、青Tも。ハルルンによろしく」
こうして俺たちの長い1日は終わった。
赤Tとの誤解が解け、親書も隣国の中枢に届くことだろう。
これで変に攻撃を受けなくなれば良いのだが。
◇ ◇ ◇
Side:サンボー
「なんだこの戦闘の痕跡は!」
俺の目の前には雷や火魔法で焼けただれた木や地面が存在していた。
地面がぬかるんでいるのは水魔法だろう。
そういえば昨日の昼間、雷の音がしていた。
あれは
「スティーブン卿、こちらに!」
まさか、嫌な予感がする。
「黄金鎧の一部か!」
そこにはどうやって分離したのか判らない黄金鎧の一部があった。
戦闘の結果切り取られたでもなく、有り得ない部分がそこには落ちていた。
つまりそれは……。
「雷化を使い、その雷をバラバラにされた結果か」
「こちらを!」
別の兵が何かを見つけた。
それは巨大な虫魔物のものであろう脚だった。
それが切り落とされていたのだ。
「
「これを!」
別の場所からは赤い鎧の一部が発見された。
戦闘で削られたもののようだ。
「まさか
魔物と
ますます意味がわからなかった。
「埋め戻されたと思われる穴があります!」
どうやらそれが唯一の手がかりのようだ。
「土魔法が使える者を集めろ。
その穴を掘り返せ!」
まさかとは思うが、
ロンゲは自らを黄金騎士と呼び増長するぐらいに、王国でも強い勇者の1人だ。
それが負けるような戦力を隣国が持つことを王国は許さない。
そうなれば隣国と全面戦争に突入する可能性がある。
なぜならば、王国による勇者数の優位が崩れ始めたからだ。
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