第250話 水棲王召喚

 翌日。

昨夜はお愉しみでした。

亀のスープが悪いんだ。あれ精力剤じゃないか!

戦闘の高揚感で頭がお色気モードになっているところに、結衣の思わせぶりな態度、そして亀のスープ。

やらないわけがない。


 だが、あれだけ頑張ったのに、早朝だというのにまだ元気いっぱいだ。

さすがにまだそういう関係ではない麗を3Pに巻き込むわけにもいかなかったこともあり、行き場のないパワーを持て余している。

最初ってロマンチックであるべきだよね?

その最初が3Pだなんて有り得ないと自重した。

あ、結衣さん、申し訳ありません。あの時は配慮も何も出来ない童貞野郎でした。


 さて、この有余ったパワーは仕事に励んで発散しよう。

ここ最近の最重要課題は稲作だ。

その田んぼを確保するためには、湿地帯と沼を支配下に置き安全を確保する必要がある。

安全な移動手段の確保も必要だ。

そのためには、周辺地域に生息する魔物の脅威が問題となる。


 だが、湿地帯と沼に棲息する水棲生物は、美味しい食材だと発覚した。

絶滅させずに、土地を利用するには、眷属を頂点として湿地帯と沼を支配する必要があった。


 湿地帯と沼の生態系の頂点というと何の魔物だろうか?

該当するのはトカゲ卵、魚卵、カエル卵、魔物卵、そして竜卵になるか。

しかし、魚卵では沼しか支配出来ない。

カエル卵も、既にカエルの魔物がいて、生態系の底辺を彷徨っている。

トカゲ卵と魔物卵に竜卵は、水棲系が出るまで召喚マラソンが必要だろう。


「ワニがあんなに弱いとは思わなかったな」


 あれだけ魔物がいると、ワニなんか集団で襲われたらイチコロなのだ。

T-REXであっても、水場に引き摺り込まれたら危ういぐらいだろう。

モドキンならば支配可能だろうが、猛毒で全てが汚染される。

そういや、魔法で猛毒を浄化出来るのか瞳美ちゃんに訊いておかないと。


 なので、ワニやT-REX以上に強い魔物を召喚しなければならない。

眷属召喚は、未知の対象は指定出来ないため、ガチャ状態の他のたまご召喚をするしかなくて困っているのだ。


 竜卵は1個MP100なので、現在の俺のMPだと1日3個しか召喚出来ない。

それもあって、数撃てば当たるで召喚するわけにはいかないのだ。

ハズレた時の対処にも困るからね。

眷属数の上限を越えてしまったら放出することになるんだけど、それが強力な竜だなんて物騒極まりない。

大ムカデを放出して困った前例もある。

せいぜい2個やってみて、水棲系が出なければ諦めるしかない。

孵るのに10日かかるしね。


 ならば、ある程度絞れるし、数も多く召喚出来るトカゲ卵で水棲王を狙うべきだろう。

いま、トカゲ卵はレベル4まで上がっているので、強さ的に丁度良い。

MPは16かかるから竜卵を2個召喚した後でも1日6個召喚出来る。

トカゲには恐竜のようなものも含まれると思う。

もし海竜が出てくれれば沼の王になるだろう。

あれ? 海竜って淡水でも大丈夫だよね?


 いや、待て。

水中の王と湿地帯の王で2匹いても良いのか。

ならば魚系も使えるかもしれない。

それも余ったMPで召喚しとくか。

魚卵は食材として使っていたせいでレベルが2になっている。

まあ、レベルが低いので王は無理か。

当たりを引かなければ、そのまま食材行きで無駄にはならないから、とりあえず召喚しておこう。


 こうして俺は、竜卵Lv.1を2個、トカゲ卵Lv.4を5個、魚卵Lv.2を4個召喚した。

明日もトカゲ卵と魚卵は追加で召喚するつもりだ。

ああ、そうだ。青Tのお米輸送に虫卵を召喚して、飛行出来る虫を手に入れないといけないのだった。

それも明日以降に追加しておこう。


 ◇


 あれから10日経った。

これまでたまご召喚だけをして来たわけではないが、平和な日常が過ぎただけなので割愛する。


 虫卵Lv.4から角の長いカブト虫の魔物が出た。

ヘラクラスオオカブトというカブト系の魔物だろう。

これは格好良い。纏候補にしたいところだ。

その他、便利そうな虫魔物は出ず、魔の森に放出となった。


 魚卵Lv.2からは、王と成り得る強さの魚魔物は出なかった。

食用ばかりだし、強そうな巨体を持つ魚魔物は海の魚だったため、食材として美味しくいただきました。


 トカゲ卵Lv.4からは、出ました、海竜モササウルス系の魔物(幼体)!

海竜だけど、淡水でも良いみたい。

明らかにワニより強い。恐竜ではなく魔物なため、皮膚に魔法由来の障壁を纏ってる。

いま、魚を孵化させるための水槽で泳ぎまくっている。

食用の魚の残りも食われてしまった。

ああ、これどうやって沼まで運ぼうか。

虫系の飛行魔物が4匹になったから、空輸するか。

まだ幼体だから運べると思うけど、あの魔境の中、幼体で大丈夫だろうか?

かと言って、成体を運ぶのは不可能だろう。

その他トカゲたちは、可哀想だけど魔の森に放出した。


 次にいよいよ竜卵Lv.1。

最後の10日目に孵化したわけだが……。


 出ちゃったよ。リバイアサン。

水棲魔物のトップでしょこれ。

リバイアサンが見張っていれば、あの湿地帯と沼は俺の支配下に置くことが出来るはず。

なんという幸運。まるで神様が見ていて援助してくれたようだ。


 そして、もう1つの竜卵からは、飛竜(幼体)が孵った。

飛竜に乗れば竜騎兵ってやつになれるのだろうか。

上に乗るから、巨大昆虫に抱えられるよりも乗り心地は良いだろう。

これは眷属召喚出来るならば増やしたいところ。

スピードも出るだろうし、虫飛行からバージョンアップした感じだ。


 リバイアサンを眷属に出来たことで、湿地帯と沼地の魔物は抑え込めるはずだ。

これで田んぼの耕作に一歩近付けたと思う。

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