第108話 皆で買い物1
カドハチの店で魔物素材を換金する。
俺と
2人がアイテムボックスに魔物素材を入れているからだ。
他の3人は店の中で待ってもらう。
「なんだ? その手は?」
裁縫女子、
「お金ちょうだい。
この時間で買い物しとくから」
そう言いだしたのは裁縫女子だった。
確かに、今俺が所持しているお金は俺と女子全員の共同財産だ。
皆で優先して買うもの――食料や武器――もあるが、その他は個人で買うべきか。
「わかった。1人金貨10枚渡しとく。
これは個人で使えるお金になるけど、次も渡せるか判らないからね?」
共同で購入する物資もあるから、渡したお金を今日1日で使い尽くされても困る。
かと言って、1つ金貨数枚になる物も普通にある。
1人金貨1枚でというわけにはいかなかった。
この世界、手の込んだ製品ほど値段が高かった。
ただ、この世界の治安状況が判らなかった。
金貨10枚というのは、そこそこ危険な金額だろう。
尤もカドハチの店の中ならば、それぐらい持っていても襲われるということはないはずだ。
そう判断しての金額だった。
3人と分かれて俺と結衣だけで店の奥に案内される。
今日はカドハチが不在だったが、俺の顔を見知っている店の番頭が、俺は得意客だとカドハチから言い聞かされていたようで、丁寧な扱いを受けることが出来た。
番頭の目の前に素材を出して換金する。
カドハチに気を付けろと言われたのは、アイテムボックスの大きさだった。
宿屋の女将のようにアイテムボックス持ちはそこそこ居るが、魔物を数匹丸ごと入れておけるようなアイテムボックス持ちは希少らしい。
俺たちのアイテムボックスに容量があることを見せて良いのは、このカドハチの店の裏ぐらいのものだろう。
今回の目玉はオークだ。肉が美味しく食べられるというので買い取りに期待していた。
査定は1匹で金貨10枚――1万Gだった。これが5匹。
2度目以降のオークとの遭遇は、肉として積極的に狩ったための結果だ。
ちなみに1匹は結衣が食材として確保した。
人型だから手足はアレだけど、肉にすれば普通に豚肉らしい。
2mオーバーの巨体を持つオークの重さは500kg程度あるそうだ。
身長2mの太った感じの人でも体重は200kg程度なのだから、どれだけ厚みがあったのかというところだ。
可食部分はさらに半分で250kgとして100g4Gというところか。
食料の日本円換算は100倍だから100g400円。
そこそこ良い値段の高級豚肉レベルか。
いや、解体費用に商会の儲けなどを入れると、そんなものなのかもしれない。
まあ、肉以外に皮とか魔石の値段も含めてだから肉としてはもっと安いはずだ。
そう分析して、この値段は妥当と判断した。
そして罠猟で得た巨大カマキリことキラーマンティスが丸ごと金貨8枚で8匹。
その他もろもろの魔石やらで金貨120枚程になった。
「貨幣価値が良く判らないから、見てるだけだったよ」
結衣がそう言うので、俺が感じた食料と木工品、金属製品の価値の違いなんかを話しておいた。
日本円換算で比べる時は100倍、10倍、そのままという感じだと教えておく。
「なら私は1Gを100円だと思えば良いのね」
結衣は料理神の加護を持っているので、食料の購入が主になる。
食料のレートは極端に安いので、頭を切り替える必要があるのだが、食品しか扱わないのであれば、そう単純に思っていても良いだろう。
ただし、この後の買い物は注意が必要だ。
「結衣にも金貨を渡しておこう。
この店の中は食料レートとは違うから気をつけてね」
まあ全てが高く見えるだけだから問題ないんだけどね。
「ああ、待ってたよ」
俺たちが店の奥から出て来ると、そこには爆買いした女子3名が荷物を抱えて待っていた。
どうやら、この短時間に所持金を全部使いきったようだ。
「とりあえす、この荷物ををアイテムボックスに収納して」
俺は荷物持ちか!
まあアイテムボックスに入れれば重さを感じないから良いんだけどね。
「まだ買いたいものがあるの。
お金ちょうだい」
いったい何を買ったのかわからないけど、3人にはお小遣いの追加を要求された。
まあ、今回手に入ったお金から1人金貨10枚渡しても問題ないんだけどね。
皆の財産だし、9人で金貨90枚、残り30枚を共同資金とすれば良い。
「これ、今日売った分だから、次は本当に無いんだからね?」
俺はそう釘を刺して金貨10枚を配った。
「乙女には男には言えない必要なものが沢山あるのよ!」
何を買ったのかはわからないけど、裁縫女子の言う通りなんだろう。
個人向けでこれだけ買うということは、留守番組も早急に連れて来ないと差が出てしまって荒れるな。
俺は無言で結衣にも金貨10枚を追加で渡す。
今後、金貨100枚相当の金板1枚もする剣を3本購入することになる。
居残り組4人にも金貨20枚ずつ渡さなければならない。
なんだが残金が怪しくなって来たぞ。
計算では金板1枚残るはずなんだけどな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます