第74話 レベル上げは罠で
クモクモの粘着糸は強力で、巨大カマキリをいとも簡単に絡め捕ってしまった。
巨大カマキリは、ホ-ンラビットの臭いを本能的に嗅ぎ取るようで、面白いように罠へと引き付けていた。
俺はその動けなくなった巨大カマキリを、次から次へとこん棒で殴っては止めを刺すと、アイテムボックスへと収納していった。
三つ編み女子によると、巨大カマキリは食べられるらしいが、さすがに女子に虫を食べさせるわけにはいかない。
昆虫食は最先端だとかで、これ見よがしに食べている人がネットにもいたけれど、その人は本当に喜んで食べているというより、「昆虫食べてる俺って意識高いだろ」って思ってるんだろうなって印象を受けただけだった。(※個人の感想であり昆虫食を否定するものではありません)
それをクモクモやキャピコの存在にも拒否反応を見せた女子たちに食べろとは言わない。
他の食べられる獲物を狩って来れば良いだけだ。
余談だが、三つ編み女子によるとゴブリンは食用に適さないらしい。
魔毒という人に魔物化を齎す毒があるらしく、食べてはいけないのが常識らしい。
ヤンキーどもが、雅やんに食べさせた結果無害だと思って食べていたが、あれはヤバかったんだそうだ。
その雅やんも、自らのギフトスキルが毒耐性だったために無害になっただけらしい。
まあ、魔物化する魔毒許容量は越えていなかったのだろが、ヤンキーチームが今も危険な魔物を食べているとしたならば、恐ろしいことになっていることだろう。
道を違えてから会ってないが、ヤンキーチームの無事を祈らざるを得ない。
目の前に現れた魔物が元同級生だったなんて事態は勘弁してほしい。
閑話休題。
では、そんな食べもしない巨大カマキリを、なぜ収納しているのかというと、それは眷属の餌として使うためと、後々の収入源とするためだった。
今回も狩りを手伝ってくれたクモクモは、蜘蛛糸を大量に出すとその分食料を必要とするのだ。
その食料を確保する狙いだ。
そして収入源だが、今回ホーンラビットの狩りに使った鎌とか、かなりの硬度がある羽といった素材が街で売れると思っているのだ。
ラノベ知識だが、冒険者ギルドのような組織が存在すれば、討伐部位なるものでお金が稼げるかもしれない。
そのため、売れそうな素材を確保しておこうというのだ。
「そういやノブちんたちは街で生活するお金のあてはあったんだろうか?」
ラノベ知識では入街税なるものがあったりする。
あの人数だとそこで詰む可能性もある。
まあ、勇者召喚をした国に辿り着けば保護してもらえるだろうけど、親切な国である保証はないんだよね。
盲目的に信じるわけにはいかないって、女子たちにはどう説明しようか……。
◇
「10匹目!」
ついにレベルが12に上がった。
これでノルマ達成なので、そろそろ狩りを終えよう。
巨大カマキリに追われたホーンラビットをもう1匹狩れたので、食料の狩りとしても美味しい罠となった。
ホーンラビットも、良いように血抜き出来たようだし、そのままアイテムボックスの時間停止庫に収納してお土産にする。
「クモクモ、帰るから罠の一部を開けてくれ」
俺がそう頼むと、クモクモはシュタッと右前足を挙げて了解を示すと、森に近い方の蜘蛛の巣を解除してくれた。
俺の全周を蜘蛛の巣で守ってもらっていたから、そこから脱出するのだ。
クモクモは巨大カマキリがかかった巣を丁寧に補修し続けてくれていた。
今回の狩りのMVPはクモクモだろう。
「ありがとう、クモクモ」
俺が礼を言うとクモクモは左右に揺れる喜びのダンスを踊ってくれた。
可愛い奴め。
クモクモの粘着糸は数日維持されるそうなので、このままにしておく。
また明日もここに来れば、残った血の臭いで巨大カマキリが罠にかかるかもしれないからだ。
この状態ならば、楽に狩れるので女子のレベル上げにも使えると思ったのだ。
巨大カマキリにトラウマを持っている女子にまで強要するつもりは無いが、こんなに簡単にレベルアップできるならば、利用しない手は無い。
『クワックワ!』
森に入ったところで、急にラキから念話が入った。
かなり慌てているようだ。
そして俺の視界が急にラキのものに変わった。
ラキが勝手に視覚共有してしまったのだ。
『こら、ラキ、予告もなしに視界を奪うな!』
もし魔物との戦闘中にこれをやられたら、命の危険すらある。
なんとかならないものか、と思ったところ、右目だけがラキの視界となった。
まあギリで許容出来るようになったが、これはこれで危険を伴うのは一緒だ。
そのラキの視界だが……。
眼福と言わざるを得なかった。
そこには男子が一度は夢見るだろう同級生女子たちのピチピチの裸体が!
俺はついに見てしまった。だが、それは不可抗力だ。
勝手にラキが視覚共有をしてしまったのだから。
それも、どうやらバレー部女子がふざけてラキを無理やり温泉に入れたかららしい。
前回温泉に入れられてのぼせてしまったラキは、そこでパニックになってしまったようだ。
その後、暴れるラキが温泉内を満遍なく走り回り、3分ほどの間、視覚共有は解除出来なかった。
満遍なく走り回ると、当然温泉内にいた女子たち全員を視界に捉えることとなる。
視覚共有は、ラキが目を閉じない限り、恐ろしいことに俺が目を閉じても維持されてしまうのだ。
これがラッキースケベというやつなのだろうが、バレたら間違いなく殺される。
煙と謎の光、仕事しろ!
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