第47話 糸もちょうだい!
新しく眷属となったイモムシと蜘蛛、俺は名前も付けて可愛がっているのだが、女子たちの評判が
さらには新たな虫卵の召喚を禁止されてしまった。
「「「もしGが出てきたらどうするのよ!」」」
仰る通りです。
Gだけは俺も可愛がってあげる自信が無いです。
さて、そのイモムシと蜘蛛――キャピコとクモクモだが、一応マスターとしてその能力は把握しておくべきだろう。
俺は自らのステータスを見た。
その最後に眷属のステータスが表示されるのだ。
俺はキャピコとクモクモの名前の右にある▼を押してステータス詳細を表示させた。
キャタピー(キャピコ) ▲ レベル1
スキル 硬化
糸生成
毒ガス
毒液
アースタイガー(クモクモ) ▲ レベル1
スキル 糸生成
糸操作
切裂き
毒液
「毒液! やっぱりこいつら毒持ちか」
毒があればゴブリン程度は倒せるのかもしれない。
それにしても虫卵Lv.3はトカゲ卵Lv.2よりも弱く見えるな。
いや、ラキがトカゲ卵にしてはレアキャラなのかもしれないな。
「それに糸!」
そういやラノベでもイモムシや蜘蛛から衣服用の高級糸が取れるという話があったな。
この糸で布が作れれば、俺たちの生活向上に役立つこと間違いない。
「クモクモ、糸のスキルで布は作れるの?」
そう俺が問うと、クモクモは前足4本を使って器用に〇を作った。
「おお!」
もしかしてキャピコもそうなのかと顔を向けると、キャピコは一心不乱に葉っぱを食べていた。
森の下草や、広葉樹の葉をおいしそうに食べるので与えているのだが、好き嫌いなく何でも食べるようだ。
ちなみにクモクモは小動物を獲っているようで、鶏は餌ではないと教えたところ、しっかり理解してくれた。
「キャピコは無理か」
そう俺が呟くと、クモクモが前足でつんつんと俺の足をつついた。
そしてまた器用に〇を作った。
「任せろと言うのか?」
クモクモはまた〇を作る。
どうやら、クモクモに任せればキャピコの糸でも布を作ってくれるようだ。
「よし、頼むぞ」
◇
そうクモクモに任せた翌日、クモクモが2枚の布――50cm×200cmぐらい――を持ってきた。
それは黄金色に輝く布と真っ白な布だった。
黄金色がキャピコの糸で、真っ白な方がクモクモの糸らしい。
それをクモクモが自らの脚で織って布にしたようだ。
糸を張った脚を動かして実演してくれた。器用なものだ。
「すごいぞクモクモ!」
これで女子からの嫌悪感も薄れてくれれば良いのに。
そう思って、この布を女子たちに見せてみた。
「ちょっと、それ何なんですか!」
布を見るなり裁縫女子が食いついた。
「この手触り、そして色艶、極上の絹のようです。
こっちは、頑丈でありながら繊細な肌触り、素晴らしいものです!」
「わかるか! それをキャピコとクモクモが作ったんだぞ」
「「「えっ?」」」
そう俺が言うと、裁縫女子以外の女子が引いてしまった。
日本でだって
あれも製造現場を見れば気持ち悪いカイコが作った糸だぞ。
まさか、シルクは虫由来じゃないとでも……いや、女子はそんな認識は一切ないのかも。
「素晴らしい! どんどん量産してください!」
裁縫女子の中にはこの布を使った何らかのビジョンがあるようだ。
「これで替えの下着が……」
何やらブツブツ言っているが、良く聞こえなかった。
「転校生くん、糸もちょうだい!
この布と同じ材質の裁縫用の糸を作って!」
「クモクモに頼めばたぶん大丈夫だと思う。
あいつ言葉が理解できるし、頭良いんだぞ」
「そうなんだ、じゃあ、細かいところは私が頼んでみる」
嬉しいことに、裁縫女子の蜘蛛とイモムシに対する嫌悪感は、そのギフトスキルによる知的探求心で吹き飛んだようだ。
彼女に任せれば、生活を向上させる布製品を作ってくれるだろう。
「ああ、しまった! 針がない!」
そう裁縫女子が叫び、がっくりと項垂れた。
俺たちの文化は土トカゲの土魔法による素焼き土器レベルだ。
せめてセラミックなみの硬度を持つ焼物が作れていれば良かったのだが……。
「残念だったな。
そう俺が慰めると、落ち込んでいた裁縫女子は満面の笑みを浮かべて顔を上げた。
「そうよ! 縄文時代は獣や魚の骨で針を作っていたはずだわ!」
裁縫女子、裁縫に関しては、とことん追求する
ここには魚の骨は無いが、獣の骨は……猪と熊の骨しかないぞ?
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