第5話 MPっていつ回復するんだよ!

「休んでみてどうですか?」


 俺と栄ちゃんの世話をするためにメガネ女子と三つ編み女子が世話係になったようだ。

世話係といっても俺たちを横に寝かせて様子を伺うだけ。

せめて膝枕でもしてくれよ、こんちくしょう!

俺はメガネ女子の問いにステータスをチェックする。


「全然だめ」

「右に同じ」


 どうやら休んでもMPは回復しないらしい。

栄ちゃんも同じだ。

まさかこのまま一生MPが回復しないのではないだろうな?


「ラノベの設定で女の子にキスしてもらったり、ハグをしてもらうとポイントがあがるってのがあった気がする」


 ちょっとメガネ女子、何言ってくれちゃってるの?

メガネ女子、渾身のラノベ知識だった。

メガネ女子はオタク系なのか。


「やってみる?」


 メガネ女子、マジ天使か!


「「是非おねがいします」」


 俺と栄ちゃんの心が一つになった。


「じゃあ、キスは初めてだから駄目だけど、ハグならいいかな?」


 充分です。


「私は無理」


 三つ編み女子はハグを拒否した。

まあ仕方がない。2人続けてハグしてもらえば良いだけだ。


「仕方ないな。じゃあ行くよ?」


 メガネ女子は栄ちゃんにハグをした。

メガネ女子は小柄だが良い胸部装甲をしているのだ。

栄ちゃんは至福の顔をしている。良い顔しやがって。


「じゃあ、次は転校生君ね?」


 メガネ女子が俺にハグをしようとした時、悲劇は起こった。


「ああ、駄目だ。全然回復していない!」


「あ、残念」


 その栄ちゃんの声にメガネ女子は俺にハグをするのを無駄だと思ったのか止めてしまった。

おい、栄ちゃんよ。せめて俺がハグされるまでそれは待てよ。

俺は血の涙を流した。


「どうだ。そろそろ回復したか?」


「駄目ですー」


 三つ編み女子が報告し、休憩時間が終了した。


「なら、そろそろ出発するか」


 委員長が出発の宣言をした。

俺はまだ何も食ってないんですけど?

MPが危ないから玉子も飲んでないし。


「こっちです」


 貴坊が上手い具合に谷間に誘導を始めた。

もしかして当たりを引いたか?


 小一時間進むと水の流れる音とオゾンのような匂いがしだした。


「やったぜ!」


 ヤンキーたちが走り出す。

その先には、貴坊の予知が当たって渓流が流れていた。

ついに俺たちは水場を確保した。

だが、MPの問題が続く限り、丸くんのクリーン魔法も有限ということになる。


「そうか、丸くんのクリーンもMP問題があるんだね」


 委員長がそれに気付いた。

いや、火を起こせば煮沸して飲めるはずなんだけどな。

たしかせっちんが火魔法を使えるはず。

薪を集めて彼に火をつけてもらえば、後は火の管理だけで良いだろう。

問題は水を汲んで煮沸する器なんだよな。

毒の無い葉っぱならば使えそうだけど、栄ちゃんの植物鑑定がMP不足で厳しいんだよな。

ああ、丸くんのクリーンも器がないと無駄が多いな。

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