第4話 水場を探そう
お知らせ
2話同時投稿です。前話があります。
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食べ物は2週間食わなくてもなんとかなるが、水は3日で終了らしい。
なので、委員長が水の探索を優先すると宣言した。
だが、探索ためにクラスを分割すれば、より魔物との遭遇も増えるため危険だと判断された。
「全員一緒に探す。
だが、闇雲に探すわけではない。
貴坊よろしく」
委員長が下がると貴坊と呼ばれた背の低い男子が前に出た。
「僕のスキルは【予知】です。
そこで水のある場所を予知してみました」
「「「「「おおう!」」」」」
皆、その能力に感嘆の声を上げた。
「あっちの方角です!」
貴坊が声高らかに言うが、果たしてその正答確率はいくつなのだろうか?
そんなことは俺以外誰も気にせず、全員でそちらの方角に向かうことになった。
一応攻撃スキル持ちが外側を警戒し、内側に女子を入れている。
俺は少し離れて最後尾を付いて行く。
「こっちです」
貴坊が進路を変更した。
どうやら道中でも予知をかけ続けているらしい。
それにしても、行先が90度曲がるってどういうことだ?
もしかして間違った方に誘導されているのではないのか?
これは地形を読んだ方が良い気がする。
水は谷間に流れる。
つまり山の頂上に向かうのはたぶん間違っている。
湧水や湖があるのかもしれないが、そこからは必ず川が出来て、その水が流れるのは谷なのだ。
なので、頂上よりも谷の方が水がある確率は高いはず。
「もう無理ーぃ」
ムードメーカーのさちぽよが地面に座り込んだ。
かれこれ2時間は歩いたので仕方ないところだ。
「お腹すいたー」
確かに飲まず食わずでの2時間歩きはきつい。
しかも慣れない山&森歩きなのだ。
この間、歩きながら採取した木の実は悉く食用に適さずだった。
となると期待されるのは俺の卵召喚だ。
「転校生、卵出してくれや」
ヤンキー2が俺に卵を要求する。
「人数分も出せないのにどうするつもりだ」
俺の問いに委員長が答える。
「10個出せるなら、焼いて1/3にすれば丁度良いよ」
10個を3分割したら30片だろ?
それって俺が人数に入ってなくね?
疎外感ありまくりなんだけど?
「どうやって焼く気?」
「それはせっちんが石を焼いてくれる」
なるほど、石を焼けばその上で目玉焼きが焼けるか。
「わかった。MPを見ながら出してみるよ」
ここで少しでも食わなければ皆持たないだろう。
これは仕方ないことだ。
俺はリクエストに応えて玉子を10個出した。
さて、俺の分はあるのだろうか?
切り分けるなら少しずつ残せば良いだけだよね?
或いは10個全部焼いて31等分するとか。
「焼けたよ!」
「わーーーい♡」
女子たちも群がって目玉焼きを食べている。
俺も遅ればせながら焼いている石の所に行くと……。
「え? 俺の分は?」
「え? 3等分で30片で丁度だろ?」
「あ!」
せっちんは転校生の俺が加わって31人ということを失念していたらしい。
俺の分は無かった。
おかしくね? 俺が出した玉子だよね? 俺のMPを使って。
その俺の分が無いって有り得ないわー。
「ごめん……」
しょうがない。隠れてこそっと生卵を飲むか。
一応MPは8残っているからな。
だが、あれから時間が経ったにも関わらず、MPは自然回復していなかった。
MPが回復しないと拙いぞ。
もし、MP0=死だったら回復しなければ大変なことになる。
ここは玉子を追加で出すことに難色を示さなければならない。
「MPが回復していないからもう出せないんだからね」
「なんですと? MPが回復しないなんて信じられないんだな」
ノブちんが驚きの声を上げる。
ラノベでもこのような設定は非常に珍しいのだ。
MPといえば普通は自然回復していくものだ。
「僕も植物鑑定を使った分が戻ってない!」
「マジかよ!」
栄ちゃんが俺の言い分を支持してくれる。
転校生の俺が言う事より、仲間の栄ちゃんのいう事の方が信用できるようだ。
身を削って玉子を出してあげても、俺は転校生という異物にすぎないうようだ。
「MP回復に条件があるのかもしれないんだな」
大切な食料源と見做された俺は、横になれだのいきなり大事にされた。
大事なら忘れずに玉子食わせろよ。
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