青春はすぐそばに

青春はすぐそばに

私は彼のファンだった。



というか今も一応ファンなのだけれども。


彼は今となっては全国的に知っている人が多いであろう芸人。


あれは高校1年生の時。

それまでもお笑いは好きでテレビをよく見ていたのだが、テレビを見て一目でファンになった。

ファンとしてはもちろん、本気で好きだった。


彼は私の青春そのものと言っても過言ではない。

その頃お笑いブームが来ており、芸人さんを好きな子は高校でも周りにたくさんいた。

その子達と一緒に劇場に足を運ぶようになり、いつしか出待ちをするようになった。


自分の事を覚えてもらおうと必死だった。

少しでも覚えてもらおうと休みの日も制服で通った。

毎回手書きの手紙を渡し、名前を覚えて呼んでもらった時は天にも登る気持ちだった。


毎日のように劇場付近に入り浸り、いつしか高校の友達とではなく一人で劇場に向かい、お笑い繋がりの友達とつるむようになっていった。

今思うと私が一人行動が平気になったのはここから始まったのだなぁと思う。

他に挙げればきりがないのだが、そのくらい私の基礎は彼のおかげでできている。


その後高校で新しく好きな人ができ劇場へは足を運ばなくなってしまったが、今でもテレビで見ると、あの時の甘酸っぱい気持ちを思い出す。


私の事、少しでも覚えていてくれたら良いなぁ。

いつかもう一度お話したいなぁ。

20年経った今でも昨日のように覚えている青春の思い出である。

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青春はすぐそばに @shima_puru

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