あの日の君に
卯瑠樹 夜
第1話 夢の男
暗い…。それにすごく寒い…、
なんでこんなに寒いんだろ…
「…?、あなた誰?」
暗闇のなかにいるはずなのに、何故か黒い靴とズボンが見え目の前に人が立っているのが分かる。
「ねぇ、あなたは誰?」
「………………」
目の前の人は答えない。
「ねえ?誰なの?」
「わたしは…幸せな人には見えないモノだよ。」
男の声だった。
「香織!いい加減起きなさい!!!」
母親が部屋へ怒鳴りこんできた。
「なんど呼んでも起きないんだから!早く支度しなさいよ!」
「は~い…」
寝ぼけた声で返事をした。
最近同じ夢をよく見る。黒い服の男が目の前に立っているのだ。
「幸せな人にはみえないって…?」
香織は少し考えた後、
「私は幸せだっつーの!!」
とイラッとしながら学校の支度をした。
本間 香織 18才は何処にでもいる女子高生だ。ただひとつ違うことと言えば、最近黒い服の男にストーカーされているということだけだ。
香織はため息をつきながら2階の自室の窓から外をみた。やはり今日もいる。外の電柱の横に立っている。何より厄介なのはその男は香織以外に見えないという事だ。
最初は香織自身、怖くて仕方なかったが長いことつきまとわれるうちに段々と慣れてしまった。
「絶対、あいつの影響だわ。夢の奴にそっくりだもん。」
制服に着替え、学校の準備を終わらすとさっきからうるさく呼ぶ母の待つ一階へと降りていった。
終わり
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