偽りの世界

SS

第1話死

「俺頭いいわ。

この世界を生きる意味はないよ。なんなら1秒でも長く生きたことを君はきっと後悔するよ。今すぐに死ぬことをおすすめする。じゃあね、楽しかったよ」


これは中学の時好きだった人からのLINE。高校に入って2年、ほとんど連絡を取っていなかった。そんな彼からの久しぶりのLINEが意味分かんない内容だった。元々少しおかしいところはあったけど…。

私はこの時このLINEを開かずに明日返信すればいいと思っていた。死ぬって言ってる相手への返信を後回しにするともう自分の言葉は相手に伝わらないかもしれない。そんなことは分かってる。

でも………………。





翌朝、私の携帯の通知は200件を超えていた。その時点で確信する。彼は死んだと。

200件の内、殆どが彼が死んだということだった。中学の頃のクラスLINE、友達、親友。いろんな人がその話題を挙げ、また私を慰めようと必死になってLINEを送ってくれた。普段の生活態度から私が彼を好きなことは本人以外のほとんどの人が知ってる。そしてその多くの人に共通することがある。誰も彼の事を名前では呼ばず、そしてさらに彼の事を誰も悔やんでいない事だ。200件の全てが私への慰め。自分自身に吐き気がする。反吐が出る。

なぜなら、私もまた彼を悔やんでいない1人なのだから。


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