第2話 冒険者の国とギルド
魔物との戦闘を数回こなして、死者の森を脱出した。
死者の森を出るのはそんなに難しくない。
どっちの方に歩けばいいか、ゲームで何回も試したりしていた俺にとっては朝飯前だった。
その代わり、魔物の数が多く中には強力な個体も居るので注意はしないといけない。
死者の森を抜けた先で見える大きな国がある。
真ん中にはとても高くそびえ立つ塔があり、冒険者の国と呼ばれている。
俺が作ったゲームの世界をこの目で見れて気分が高まる。
ここも、知っているところだ。
冒険者の国 クルスト
冒険で大量の財を手に入れたクルストが作った国。
それ故に、冒険者の国と呼ばれ、クルストが発見した伝説のダンジョン。クルストの魔法塔がある。
「ついに、ここまで来た。このクルストの塔に来なきゃ、俺の冒険は始まらない」
クルストの魔法塔はSTの入門的、ダンジョンでここでレベルを上げるのが一般的。世界を探しても、魔法塔はここしかない。
他のダンジョンも一応あるのだが、そっちは難易度がバラバラで、ここでレベルを上げるのが一番効率がいいというのがSTの常識だった。
とりあえず国に入ろう。
確認とかも無かったはず。
国の門の前まで来ると門番に呼び止められる。
「おい。そこのお前、大丈夫か? 怪我してないか」
俺のボロボロの格好を見て心配してくれているようだった。
「大丈夫ですよ。ここに来るまでに、魔物に襲われて」
門番はさらに心配そうな顔をした。
「そうか。それは災難だったな。通っていいぞ」
あれ。倒したんだけど逃げ帰ったと思われたかも。
まぁいっか。
「あっ? 冒険者ギルドってどこですか?」
「ああ。門を通って真っ直ぐだ。危険なことはするなよ」
少し、逃げたと思われるのは癪だが今は、もっと重要なことがある。
走りながら思う。この服だから誤解されたのかな。
とりあえず、新しいの買うか。金は無いから、持ってる素材をギルドで売るか。
冒険者ギルドの前に着く。
俺のゲームで冒険の初めの拠点になる場所だ。
感動する。
そんなことを考えていると、後ろから冒険者たちが来るので邪魔になっても行けないので中に入る。
中には冒険者たちが、掲示板の依頼を見たり酒を飲んだりしている。
そこを通って、受付に行く。
「すみません。冒険者になりたいんですが」
「はいはい。今、受付しますねー」
その受付嬢の人は、とても気だるげで色っぽいお姉さんだった。サラサラの茶髪に透き通る碧眼。そしてとても大きなお胸。すぐに、目を奪われてしまった。
「どうしましたか?」
「いえ。なんでもないです」
「そうですか。あなたのステータスを私の鑑定魔法で見させて貰ってもいいですか?」
鑑定魔法だと。この世界だとレアな魔法だったはず。この人、もしかして。
「アンジーさんですか?」
「そうですよー。アンジー=ターキッシュですー。どこで知ったんですか?」
思わず、聞いてしまった。
アンジー=ターキッシュ。
俺が作ったゲームのお助けキャラ。年齢はすごく上で魔女なのでほぼ不老。
ストーリーの重要人物で主人公が好きになる相手だ。このキャラは俺の好きな見た目で作ったから、嬉しいどころの話ではない。好きだ。
じゃない。どう誤魔化す。
「アンジーさんは冒険者として有名でしたから」
「そうですかー? まぁもう引退して、長いんですけどー。あ、鑑定終わりましたよー」
「どうでしたか?」
結構、緊張する。
「問題なかったですよー。ギルドカードを発行するのでお金出してください」
「お金は無いので、素材を引き取って貰えませんか?」
「そうなんですねー。分かりましたー」
アンジーの前に素材を出す。
ゴブリンの耳 4個
スペルゴブリンの杖6個
「ありがとうございます。お金、ギルドカードにいれていいですか?」
この世界では、お金はギルドのカードに入れて管理する。大金を持ち歩くのは危険だからだ。
「はい。お願いします」
「ギルドの説明も入りますかー?」
「大丈夫です。それでは一旦、用があるので出ますね」
「はいー。分かりましたー。行ってらっしゃいませー」
自動効率化魔法で異世界インフレの旅 瀬斗 結衣 @seto20000929
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