ゲーム妻

磨古都

第1話

結婚した。


最初の結婚は、プロポーズもない、指輪もない、式も挙げてない、なんとなく入籍してあっという間に終わった数ヶ月だった。


最低な男だったけど、後悔はしてない。

結婚に焦ってたって言うのもあったし、なによりずっと欲しかった義妹ができた。


それから8年後の今。2回目の結婚。

今の旦那は一言で言うなら亭主関白。

「亭主関白」と言う言葉で合っているのかも分からない。

とにかく、今まで生きてきた中で付き合った事のないタイプで毎日気を遣う。

まあ、他人と一緒になると言うことは多少なりとも気を遣うものか。


・一緒にいる時はスマホをいじらない。

・スマホの音は基本無音。

・スマホゲームは禁止。

・SNSのアイコンは自撮り禁止。

・SNSのコメントのやり取り禁止。

・露出のある服装は避ける。

・常に行動する時はLINEで報告。

・一緒に食事をする時はお酒は飲まない事。

・美容院、ネイル、マツエク等は私の仕事がある日に行く事。

(要はオフの日は一緒にいる事)


納得出来る内容もあれば、しんどいなぁと思う内容もある。


仕事に関してはもうすぐ辞めて専業主婦になる。旦那が仕事はしなくていいと言ってくれたので。

このご時世で有難いとは思っているが、本音は結婚しても仕事は続けたかった。

人生何があるか分からないし、蓄えられるだけ蓄えたいと思ったからだ。

社会から離れてしまう恐怖もあるのかもしれないし、今まで積み上げてきたキャリアを捨てる勇気がないとも言える。

現に、結婚して妊娠・出産したとしても仕事復帰出来るような基盤を作ってきた。


まあ、これは最終案だから、、、


ずっと働いてきたんだし、これを機にのんびり生きるのも悪くない。


働く=生きる、生活する

と言う概念から解き放たれる時なのかもしれない。

そう考えると、旦那には感謝でしかない。


仕事を辞めたら、妊活をメインに旦那との生活を楽しめばいい。


なのに、なんで毎日こんなに不安と葛藤しているのだろうか。


正直な話、今までの男運の無さと言ったら半端ない。

友達にはダメンズホイホイとまで言われた。

でもある時、友達のひとりに言われた事が忘れられない。

「彼も悪いと思うけど、そうしてるのはあんただよ。」

衝撃が走った。

知らず知らずのうちに自分がダメンズ製造機になっていたとは。

言われてみたら思い当たる節がたくさんあった。

無意識に相手を傷付けてたのかもしれない。

今までの事はきっとお互い様なんだと思った。


だから今回は、今までの経験を生かして同じ過ちをしないように気を付けている。

けれど、今まで生きてきた考え方や行動しぐさを直すのはなかなか難しく、よく旦那を怒らせる。


このぐらいで…?

ちょっとだけで…?


て事がもはや許されない。

自分の物差しで判断するなと言われた。


軍隊かな、、、

と頭によぎることも多々ある。


女の子みたいに姓名判断で占ってみたらこう書いてあった。


《上手くいってると思っていても最後には必ずひっくり返される》


なんて恐ろしい占い結果だろうと思った。

一生忘れてはいけない文言のような気がした。

それが脳裏から離れずこの結婚生活に不安があるのかもしれない。

占いは、あくまで助言。そう分かっていても振り回されてしまう悲しい性格。

そう。私は小心者なのだ。


前回の結婚では気付かなかったが、今回の結婚で気付いてしまった。


私にとって結婚とは、修行と言う名の壮大なゲームである。


嫌な事も「修行」と思えば楽になる。

私の人生のラスボスは旦那であった。


これから私はミスの許されない長いゲームを開始する。

どんなRPGやMMOよりやり甲斐がありそうだ。


さて、作戦を練らなければ

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