トルシュカとグレース
花壁
プロローグ
音を殺して近づき扉を蹴破ってから中に転がり込んで態勢を立て直し銃口を男に定める。
「⋯⋯グレース」
まるでこうなることをわかっていたように男は微動だにせずただこちらを見つめ返していた。
「トルシュカ、私を騙したのはあなた?」
「打ちたいなら撃てばいい。俺は構わない」
「あなたが私を殺して。最初からそのつもりだったんでしょ」
引き金から指を外しグリップを男に向けると男は渋面で拒否を示していた。
「⋯⋯そう、殺す価値もないのね」
金属音の擦れる音と秘書の焦った声が聞こえそれに呼応するように男と視線が重なったようにみえた。
「グレース!」
男の声が酷く焦っていた。
机を飛び越えてきたよりもはやく視界が反転して白い天井に赤い飛沫が飛び散ったのを最後に視界は暗転し消えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます