第26話
倉敷湊は、しばらく海外旅行に行くことにした。湊は、空港の待合室で誰かを待っていた。
「お待たせ」
湊に声をかけたのは、朝日俊だった。
「久しぶりね。何ヶ月ぶりかな」
「んー1ヶ月ぶりくらい?」
「意外に時は経ってなかったのね」
湊は、サングラスをしていたので、目は分からないが、口元は笑っていた。
「また、湊に会えるなんて思っても見なかったよ」
「勝手に殺さないでくれる?」
俊と湊は笑い合った。
「仕事は大丈夫なの?」
「仕事は辞めてきた」
「私と一緒にいると、いつ殺されるか分からないよ。それとも、私を殺す気?」
「まさか。湊のことは僕が守る。湊の足の速さには敵わないけど、こっちは軍事組織で一応訓練は積んできてるし。ある程度は守れるよ」
「ふーん。じゃあ、信じてみようかな。あなたを信じてもいいですか」
「もちろん」
二人は、ゲートに入り、狭い通路を通り、飛行機に乗った。湊が窓側で、朝日俊が通路側。二人席だ。
飛行機が離陸する合図があった。二人はシートベルトを締める。
そして、キスをした。湊の目から涙が溢れた。
飛行機は、一瞬で雲の上へと上って行った。
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