転生悪役令嬢は、処刑される運命を回避するために嫌われ皇子と婚約します!
伊桜らな
第0話 プロローグ
「……ごめん、好きな人が出来た。別れて欲しい」
私、
大学時代から付き合っている彼氏
「……え? 肇くん、嘘だよね?」
「嘘じゃない。君のこと好きじゃないんだ。瑠奈は1人でも生きていけるだろ」
「肇くんが好きな子は守ってあげたいタイプなんだ」
彼は口角を上げ頷いた。あぁ、こいつ恋してんだなぁ……。彼の瞳にはもうすでに私はいないんだと悟る。
私が何も言わないからか苛立ちはじめる彼に、もういいやと思い「うん、わかった。別れよう」と言った。
「そうか! 良かった!」
肇くんは、パァッと笑顔になり喜ぶ。こんな笑顔、久しぶりに見たかもしれない……。
「じゃあ、これ。誕生日おめでとう!」
「……え?」
「それじゃ!」
彼は紙袋を私に強引に持たせると、駅方面に走っていった。なんなのよ……。
─︎─︎私は、25歳の誕生日に5年ほど付き合った彼氏に振られたのだった。
「瑠奈ちゃん、顔死んでるよ」
「あー……もう、死にたくもなります」
翌日になっても心は晴れることはなく、沈んでいた。
「何があったの? 昨日はデートだったんじゃないの?」
会社の隣のデスクにいる上司・
「そうですよー……はぁ、別れました!」
「え?」
「振られたんです! 好きな人ができたんですって!」
言葉にすると辛過ぎる……! 怒りも湧いてきそうだ。それを全て鮎川さんに暴露すると、眉間に皺を寄せて低い声を出した。
「はぁ!? 何そいつ! ……殴り行こうか!?」
「い、いや……! もういいんですよ」
苛つくが、結果は変わらない。
別れられて良かったんだよ、あんな浮気男。
「そっか、今日はランチ奢るよ。仕事頑張ろ!」
「はい、頑張ります!! じゃあ、外回り行ってきます」
鮎川さんといつも通りの朝の会話をしてから、私は外回りに出かけた。
その数時間後、鮎川さんと待ち合わせ場所である会社近くのカフェに向かう途中に保育園だろうか仲良く手を繋ぎキラキラと可愛い笑顔をして歩く子供たちが眩しく見えた。
「こんにちはぁ!」
こっちを見ると大きな声でそう言われて「こんにちは」と返す。可愛い……なんて、可愛いんだ。癒されるなぁ。
「瑠奈ちゃん、お待たせ」
「あ……鮎川さん。お疲れ様です」
子供たちと別れ、カフェの近くで鮎川さんと会い何を食べようかなと考えながら歩き出す。
すると、先ほどの子供たちの集団が手をしっかりと上げ横断歩道を渡っていた。
「可愛いね、保育園の子かな」
「可愛いです。近くの保育園ですかね?」
この地域には保育園が3箇所もあるし、どこの保育園かな……そんなことを考えていた時、ある車がこちらに向かっている。
「変じゃない? あの車」
「……!? 鮎川さん、荷物お願いしますっ」
子どもたちが危ない……! 助けないと! と思い、私は走り出して安全な歩道に子どもを押した。
「……瑠奈ちゃん!?」
鮎川さんの声が響いた瞬間、身体が浮き道路に叩きつけられる。心臓の音が暴れるようにうるさく、すごく痛い。
「は、早く救急車!!」
「やばくない!?」
そんな声が聞こえる中、意識を保つことは出来ず目を開けているのが難しい。
死ぬのかな、私。
もし、生まれ変わることが出来たなら今度は……。
─︎─︎ひとりの人に、愛されたい。
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