恋愛以外ほぼ有能なぼっち籠球男子と、高校球児界で知らぬもの無しのスーパールーキーが愛を深める物語!?
基津佐(もとつさ) まきじ
第1話Nice to meet you(はじめまして)
ここは
近くにある海からの潮風と、建物間を抜ける日光によって地中海にいるような気持ちになる。
日光の差し込む先には大きな1本の桜の木があり、100年以上前からあるそうだ。
今の時期はちょうどいいプチ花見ができるいいところだ。
去年はよくここで1人くつろいでいたが、今年もきっとそうなのだろう。
ボッチ
俺はそんなものになった覚えもないし、なる気もない。
1人でいるのが好きなだけで、クラスの人と話すこともごく稀にある。
たが、世の中から見ればボッチらしいがな。
そんな俺、木下
しかしいつもとは違い、自分の意思ではなく誰かに呼び出されたのだ。
下駄箱に手紙と、なんともレトロな方法で。
高校2年生になると、生活の中で色々な出来事が起こると言うが、まさか始業式の次の日に起こるとは……
体育館裏に呼び出されるといえば、起こる事象は決まってくるのだ。
女が来るなら告白だし、男が来るなら喧嘩である。
俺にとってはどちらも大イベントだ。
なので、俺は不安と期待を持ちながら体育館裏へと向かう。
体育館裏に着くと、そこには相変わらず立派な桜が咲いている。
8割り咲だ。
俺は木の下へ行き、そっと腰を下ろす。
暖かな風が頬にあたり
同じタイミングで近くに住む猫も欠伸をする。
猫種はロシアンブルー。
俺の膝に
相手が来るまでと思い猫を抱き上げた時、砂が擦れる音がした。
目の前には1人の男子生徒がたっていた。
大イベント発生、俺の思考は喧嘩と判断した。
男子生徒はガタイがよく、肌は褐色でスポーツ刈りより、野球部と推測できる。
靴の色からして1年生だ。
名前は
俺が立ち上がって対面すると、俺より少し背の低い子だ。
堂々と立つ彼の背後から、潮風が冷たく突き刺さるように吹いてくる。
太陽は雲に隠れ、あたりは重さを増した。
彼は大きく息を吸い、
「どうも」
とガタイにややそぐわない少し高めの声で言った。
俺はつられて、
「こんにちは」
と、返した。
どう見ても喧嘩しなさそうな好青年だ。
目の前に立ち止まった時はポケットに手を入れていたが、話す直前しっかりと手を出し、更には第1ボタンまでしっかりとはめていたのだ。
そうとわかった途端、周りの空気は軽くなったのだ。
それと同時に俺の頭の中で、呼びつけた理由が気になった。
「君、どうして俺なんかを呼び出したんだ? 」
再び気さくなキャラを
「そんなに緊張しなくていいぞ」
と我ながら優しく声をかけると、彼は再び大きく息を吸った。
「拓真先輩、俺、先輩のことが……その、……好きです!! 」
彼の言葉に俺は耳を疑った、突然の告白に。
何かを言い出そうとも声が出ない。
口は乾き、手汗が噴水のように湧き出てくる。
俺があからさまに困惑していると、
「ごめんなさい、急に。変なこと言って。……忘れてください。」
そう言うと彼は後ろを向き、震えた足を少しずつ前へと動かし始めた。
彼の背中が遠のいていく。
心の内を何かがえぐり取ろうとつかみかかっているようだ。
胸には得体の知れない痛みがある。
痛みを感じながら彼の背を見つめていると、彼から落ちたものに体が勝手に反応した。
そして俺は彼の手を取って、強く握った。
「まてよ、俺まだ何も言ってねぇけど。」
彼のあゆみは止まり、ゆっくりと振り返った。
俺はすかさず強く抱きしめ、
「君の気持ち、ちゃんと
俺たちはそのあと、木の下へと戻った。
「俺は木下 拓真だ。よろしく。」
「俺は青木
俺たちの気持ちは重なった。
そして干渉しあい、そして完全に重なり合うことを願って、右頬にキスをした。
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