花になるまで・・

MeGUMI

第1話

3年前の春………

私に、つぼみができた!!!


中学3年間、恋愛も勉強も何一つ

パッとする事がなく過ごしてきた私、

【岩澤 椿】。名前だけは【椿】と華がある

のだが『名前負けしている』とよく言われた

ものだ。友達といえる友達もいないし

何を言われようが、そんなのは慣れっ子なので

気にもしない。ただただ普通に普通に

過ごしてきて、やっと卒業!!!

でもまた新たな学校生活が始まる。

また、ただただ普通に普通に過ごして

高校3年間も終えるのだろうとしか

思っていなかった!!でも違った……


入学式……

その男の子は、入学式早々に遅刻してきた。

いや、正確に言えば入学式には参加して

いない。突然、教頭先生に連れられて

教室に入ってきた。茶髪にピアス、制服の

着こなしもダラしない感じだった。

しかも出席番号が私の後ろ。だから

入学式の時、隣が空いてたのか…

まぁ絡むこともないだろうと

こんな人もいるんだ!くらいに留め、

気にすることなく、担任の先生の話を聞いていた。

すると…今来た男の子が、私の後ろで

イビキをかいて寝ている………


(え?なんちゅー子なの?しかも

そんなすぐに爆睡できるなんて……)


って内心思っていたら、担任の先生が

『岩澤~!後ろの岩谷を起こしてくれ!』

と言ってきた。


(はぁ?なんで私?嫌だ。絶対に嫌だ。)


と思う事しか出来ず、机をトントン!

と叩いてみたが、まったく起きない。

もう一度叩いてみたが、起きない……

人の体に軽々しく触れるのも嫌だったけど

肩を叩いてみた。イビキは止まった。


(あっ!起きてくれたかな!?)


と思って様子を見ていたけど、

頭は上がらない。


(もう一度、肩を叩いて

みたら次は起きるだろう。)


と思い、トントン!と肩を叩いた。

その時だ。男の子がバッと私の叩く手を

握って止めた。


『さっきので起きてるよ。何回も叩くな。』


そう言った。


(起きてるなら、顔上げてよ!)


と思いながら、


『あっ、ごめんなさい。』


なぜか謝ってしまった。

まず人に手を握られるっていうのも、

お父さん・お母さん・お爺ちゃん・

お婆ちゃん以外に、保育園の先生に

されたことしかないので、ビックリ

してしまい、頬を赤らめてしまった。


男の子が顔を上げた。


(うわっ!すごい綺麗な顔。)


つい見とれてしまった……

そしたら、男の子が


『お前、ちっちゃいし細い手してんな!』


と言ってきた。まだ握られたままだった

ようだ。そんな感覚さえもなくなるくらい

人に触れられた事に、驚いてたんだ。

思わず振り放ってしまい、前を向いた。

頬だけじゃなく、全身火照ったのが分かる。


(恥ずかしい!早くHR終わって~!)


と思いながら、チャイムが鳴るのを待った。

チャイムが鳴り、トイレへ急いだ。

顔を冷やしたい!頭を冷やしたい!

全身冷ましたい!!それしか頭になかった。


(とりあえず赤らめた顔は戻ったな。

入学早々やめてよ~。しばらくあの席か…)


と、ため息が出る。トイレから出ると…

いる!あの男の子だ!なんで!?


(あっ、トイレに行ってたんだな!)


そう思い、教室に戻ろうとしたら

その男の子が、明らかに私に向かって


『大丈夫か?!すんげー、真っ赤に

なって走って教室出てったけど…』


(え?そんな事で、ここにいるの?)


そう思いながらも、私は


『あっ、大丈夫です!すみません。』


そう言い、教室へ戻ろうとした。


『お前さぁ!謝るの好きなっ!何か悪い事でも

したの?それに、同級生だろ?敬語とか

やめろよ!』


そう言ってきた。初めてだ…!!

人から気にかけられる事も、話かけられる事も、しかも異性からなんて…返しに困る……。


『いや、すみません。色々と初めてな事

ばかりで、緊張していたみたいで……』


精一杯の返しだ……。


『だよな~。俺も初めてな事ばかりだわ。

お前みたいな女の子とか、特に。』


(でしょうね。あなたの周りはキャピキャピ

してそうですもん。)


そうは思ったけど、言えず無言で去ろうと

した次の瞬間、次は手ではなく腕を捕まれ

引っ張られた!


(脳みそがついて行かない。ついて行けない。

どういう状況なの?なんなの?)


頭がグルグル回ってる感じがする。


『なんなんですか!?痛い……』


すると、男の子が


『悪ぃ!俺、考えるより先に行動に

出てしまうんだわ!痛かったよな!

ごめん…率直に言うわ!お前さ、

俺の彼女にならねぇ?いや、友達からが

先か!友達にならね?今日教室に入った瞬間

お前が、真っ先に目に入って気になって

…でも、気になってるのが何なのか俺にも

分からねぇんだわ!』


(は?何言ってるの?この人……

色々と直球すぎるし、何訳が分からない事を

ペラペラペラペラと…………それに、

いきなり彼女にならねぇ?は普通に

おかしいでしょ!友達からっていっても

まったく系統が……無理に決まってる。)


固まって何も言えない……


『とりあえずさ、友達なりたいから

連絡先教えて?それくらいは良くね??

同じクラスメイトって事で!!

俺、岩谷 駿!駿って呼んでいいよ。』


『駿……駿くん。連絡先くらいなら……

私は岩澤 椿です。呼びやすいように

呼んでください……』


そう言い、連絡先を交換した。

初めて同級生の連絡先を手にした。

しかも異性だ。


『椿!可愛い名前だな。

よろしくな、椿!!』


いきなり呼び捨てかよ。と思ったが

なぜか嬉しく、変な気分になった!

今までに味わったことがない気分……



今思い返せば、

それくらいからだろう。



私につぼみがさいたのは―――。

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