第171話、先代達との激戦。


先陣を切って3代目と4代目がミアに向かって突っ込んでくる。


「7代目のお嬢!!気を付けてくれ!!

我と4代目は接近戦を得意とする。」


「我らを止めてくれ!!頼む!!」


2人は切なげな顔で言葉を投げる。


「うむ、先代方任して下さい。

アリュート国、歴代最強・・・・と呼ばれた戦姫の力をお見せましょう。」


ミアは神器マリアージュを構え力強く答える。


「歴代最強か...。頼もしい。頼むぞ。」


3代目は微笑みながら、激しい剣技を振るってくる。

ミアはその剣技の一つ一つを見切って躱わして行く。躱わした先に4代目の剣が走る。

4代目剣を盾でいなしていく。


さすが、先代様方...。

隙のないコンビネーション。

しかし、この程度なら...。


ミアが反撃に出ようとすると、


「7代目ぇぇ!!躱わすのじゃぁぁ!!」


2代目フェイズの声が聞こえてくる方向を見ると大きな炎の塊が目の前まで迫ってきていた。


「チッ。雷光移動ライジングムーヴ。」


ミアは雷のごとく凄まじい速さで炎の塊を躱わす。躱わした先に3代目と4代目が先回りして待ち受けていた。

ミアはそのまま雷光移動ライジングムーヴを利用して剣を構える。


雷光連斬・嵐ライジングストーム!!」


待ち受けていた3代目と4代目の目には、

ミアが一瞬で何百人に増えて一気に剣を振るっていく様に見えた。

実際にはミアは一人なのだが、残像が残るほどの超高速移動をして次々と3代目と4代目を斬りつけて行く。


「これほどとは...。流石じゃ、7代目。」


「ああ...。これで安心して逝けるな...。後の王達の事は任せたぞ。」


「はい...。安らかにお眠り下さい...。」


ミアがそう言うと3代目と4代目は光の粒子になり消えていった。


「あれは神器ですか...。

また厄介な物を持っているのですね...。」


黒いローブの小さい方は呟く。

神器の属性は光と聖、闇の属性とは相性が悪い。光か聖のどちらかの属性武器なら操られていた王達は消滅出来なかったのだが、その両方の属性となると話は違う。

相乗効果で威力は只でさえ絶大な上にミアは、神器マリアージュと同調シンクロしている。

黒いローブの2人もこれは予想外な事に少し驚いたが冷静を保っていた。


「でも、貴女の魔力でいつまで持ちますかね?」


神器を扱うには只でさえかなり魔力を要する。しかも、2つの属性を扱うには更に魔力を使う。

並の使い手ならばもう魔力が枯渇してもおかしくはない。並の使い手ならば。

ミアはそれに当てはまらない。

ミアは魔人国の中でも歴代最強と言われているほど魔力量が多いのだ。


「おあいにく様、私の魔力量舐めないでくれる?」


ミアは黒いローブの小さい方に返事をしながら隙をうかがっていた。

元を倒せば先代達が操られているのが解けるかも知れないそう考えていたのだが、先代達は容赦無くミアを攻め立てる。


初代王ゴルマは剣に魔法に何でもありで隙がない。2代目フェイズも中距離から数の多い魔法を休みなく撃ってくる。

そして5代目プロペトは遠距離から高火力の魔法を放っていた。

ミアはプロペトの高火力の魔法は詠唱時間がある為、先にゴルマとフェイズを倒そうと決めた。


初代の王ゴルマと剣を重ねる。

ミアは雷光移動ライジングムーヴで動きながら剣擊を放っているのだが、その動きに互角以上に撃ち合ってくる。


「7代目ミア...。

全盛期の儂並み...いや、まだ力を隠しているな。歴代最強も頷ける。我は先祖として誇らしいぞ。」


「アリュートで伝説のゴルマ様にそう言って頂けるのは光栄です。

ですが、時間も魔力も惜しいのでもう一段階上げていきます。」


「あぁ。ミアよ...。

我が国アリュートを、国の民達かぞくたちを頼んだぞ。」


初代の言葉は優しさで満ち溢れていた。

ミアはその言葉にまた決意する。

国を民を家族を守る、それが王として今生きている者として出来る事だと。


「マリアージュ!!

二段階目の解放行くよ!!」


(はいよ~!!ミア!へばるなよ!!)


「「神器解放!!」」


光と聖の属性の力が一帯に広がる。

すると、先代達は動きを鈍らせていった。


ミアの盾は消え、剣は刀になり、鎧は羽織りと形状変化していった。


「ゴルマ様、一撃で終わらせます。」


「うむ。」


穏やかな顔のゴルマ、しかし身体は操られている為に全力でミアを襲う。

ミアは刀を鞘に戻し、ゴルマが領域に入るのを待つ。

そして、ゴルマの身体がミアの領域に入った瞬間。


「抜刀・天一刀あまのひとたち。」


ミアの抜刀術は光を越す速度でゴルマの身体を一刀両断にした。


「見事だ...。7代目ミアよ。天より見守っておるぞ。」


「はい...。」


その斬り口からは光と聖の属性に溢れ、その光に包まれたゴルマは光の粒子と共に消滅させた。

消滅を確認したミアは、

次に2代目のフェイズに向き合った。


「次は私の番だな。7代...」


「秘技・無明斬り!」


「お、おい。儂まだ喋ってる途中なのに...。」


2代目フェイズは光に包まれ粒子と共に消えていく。


「儂、まだ喋りたかったのにー!」


のにー!のにー...。のに...。

2代目フェイズの声が虚しくこだましたのだった。

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