第116話、VSウリエル。
さて、どうやって勇者オルガの中からウリエルを追い出そうか...。
「ねぇ~。来ないの?来ないならこっちから行くからね。」
ウリエルは待ってはくれないか...。
「もう。いいや。死んでね。ネズミさん。」
ウリエルがもうスピードで突っ込んでくる。
さっきとは比べ物にならないスピードだ。
いつまでも逃げてはいられない...。
ウリエルがどのくらいの強さなのか試してみるか...。
ガキーン!!
大鎌を振りかぶってくるのを聖剣アスタリスクで受け止めた。
ただ速いだけで攻撃自体は軽いな...。
これなら楽に倒せる。
(お兄さん!!この鎌、変だよ!!)
(力を吸われてるの...。)
何だって!?
俺はすかさずウリエルから距離を取った。
そしてウリエルが持つ大鎌を[鑑定]をした。
・死神が持つといわれる伝説の大鎌。
固有スキル[エナジードレイン]が常時発動している。
相手のあらゆる力を吸収して所有者に与える。
マジか...。
こんな武器があるなんて...。
(あの大鎌に触れる度に私達の力が吸いとられちゃうよ。どうするの?お兄さん!!)
(聖剣が裏目に出たの...。普通の武器なら受けられるのに...。)
普通の武器?
それだ!!ありがとう、リスク!!
(なにか思い付いたの?)
あぁ。
俺は聖剣を鞘に納めた。
「あれ?どうしたの?戦うの諦めた?」
「諦めるわけないだろ。バカなの?お前。」
「バカ?今この僕にバカって言った?」
「他に誰がいるんだ?」
「バカ?この僕を?........殺す!!殺してやる!!」
ウリエルがキレた。
顔が勇者オルガだからおっさんのキレ顔とか怖いんだけど...。
ウリエルが俺を目掛けてブンブンと大鎌を振ってくる。
が、俺は全ての攻撃を避けながら、帝国軍達が居るテントの方に近づいた。
居た...。
俺は見張りをしている複数人の帝国兵を手刀で気絶させて、剣を数本拝借した。
(お兄さん、頭良いね~。この武器ならあの大鎌の攻撃防げる。)
強度に不安はあるけど...。
アスタ、リスク。鞘の中で聖魔力を高めて待機してくれないか?
俺の魔力を使ってもらっていいから。
(うん。わかった!)
(......なの。)
「逃げて回ってばっかりいないで向かって来いよ!ネズミ野郎!!」
「そうだな。こっからは俺のターンだ。」
俺は[瞬歩]でウリエルに近づく、俺の速さについてこれていない。
「背中ががら空きだ。」
「な!?」
「[一閃]。」
俺の一太刀がウリエルにクリーンヒットし、吹っ飛んで行った。
....がその衝撃に耐えきれず、帝国兵から拝借した剣が砕け散った。
やっぱり強度が足りない...。
どうにかならないものか...?
俺は剣の強度を上げるために考えた。
「何ボーッとしてんだよ!ネズミ野郎!」
ウリエルは俺が考えている間に起き上がり突進してきた。
大鎌を振りかぶってくるのを俺は剣で受け止めようとする。
大鎌と剣がぶつかると剣が真っ二つに切られた。そのままの勢いで大鎌の刃が俺に向かってくるのをしゃがんで避けた。
やはり剣の強度が低すぎる...。
どうする?考えろ、考えろ...。
俺には錬金術は使えないし、この剣に魔法をまとわしても耐えきれないだろう...。
うーん...。
俺はウリエルの連続攻撃を避けながら、思考を加速させて考えた。
「きゃははは!何が俺のターンだ!!格好つけやがって!!お前は僕のこの
オラァ!!死ねぇ!!死にやがれぇ!!」
そうか!?
あった...。突破口が...。
俺は向かってくるウリエルから[瞬歩]で充分に距離をとり、魔法の詠唱を開始した。
「全てを燃やし尽くす炎、全てを凍らせる氷、全てを切り裂く風、全てを焦がす雷、全ての闇を天に返す聖.....。」
(魔法の詠唱!?あの大鎌がある限りエネルギーが吸収されてしまうだけなのに...。お兄さんは何を...。)
(.....無謀なの。)
アスタ、リスク。俺だって考えなしに魔法を詠唱している訳じゃない...。
まあ、見てろって...。
この魔法はアルトの炎、水、風の合成魔法[
「
俺から放たれた五つの魔法がスパイラル状に渦を巻き、ウリエルに向かって飛んでいく。
「この期に及んで魔法!?ギャハハ!!
お前バカだろ!?全て吸い尽くせ!!
俺の放った魔法は大鎌に全て吸収された。
「ウオォォォー!!なんだこの沸き上がる生命力は...。ギャハハ!!これはいいねぇ!!ネズミ野郎!!お前のエネルギー根こそぎ奪ってやる!!」
ウリエルは高笑いをして完全に油断している。
俺はと言うと、自身を[鑑定]していた。
.............あった。
ウリエル...。
その高笑いを絶望へと変えてやるよ...。
俺はニヤリとほくそ笑んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます