第85話、決着
「お兄さんのオーラ半端ないね。」
「ホントに半端ないね。
声かけなくていいのかな...?」
「今場面的に声かけるのはちがくない?
めっちゃシリアスだし...。」
「うん...。声かけづらいよね...。
クラレのお姉ちゃんは良いなぁ...。」
「良いよね...。正直羨ましい..。」
「羨ましいよね...。あっそうだ!ピンチになったら声かけようよ!」
「いいねぇ!でも...ピンチになるかな...?
お兄さんのオーラ相当強いよ。
そのまま倒しちゃうかも...。」
「だよね...。
でもそうしたらどっちみちお兄さんの手に渡るからそれはそれでいいんじゃない?」
「そうだね。とりあえず戦いを見守ろうか。」
「うん。そうしよう。」
俺はヘンリーの体であるカマエルに攻撃をどうか踏ん切りが付いていなかったのだ。
それを、察しているカマエルはお構いなしに攻撃をしてくる。
俺はそれを防ぐだけであった。
アルトの魔法が来るまでの短い時間がとても長く感じる...。
ヴォイス。
アルトはまだなのか...?
俺のこの
(もう少しです。って言うかマスター体調悪いんですか?)
急にどうした?
俺の体調は万全だけど。
(いや、いつもより身体のキレがないのでどうしたのかなと...。)
キレが無い....?
あっ...
(どうしました?)
い、いや。何でもない...。
(まさか...。マスター....。
グラビティを自分に掛けたのを忘れたまま戦ってたんじゃないんでしょうね...)
す、す、すいませんでしたぁぁ!!
スッカリ忘れてました。
だから何かダルいなと思ってたんですよね...。
あははは....。
(マスター...後で説教部屋行きです。)
いやいや!
説教部屋なんて無いでしょうが!
ちゃんと倒しますから許してください...。
(もう。本当にしっかりしてくださいね!)
はぁい...
でもヴォイスありがとう。
ヴォイスが教えてくれなかったらヤバかったよ。
(ま、まぁ、私はマスターの最愛の
あぁ。ヴォイスは最高の
俺は念話を切った後、グラビティ×20を切った。
すると、カマエルの攻撃がスローモーションに見える。
グラビティのお陰で動体視力も鍛えられたのだろう。
俺はカマエルの攻撃を全て見切って避ける。
すると、カマエルの表情が変わった。
「お、お前何をした...。」
「特に何も。」
「嘘をつけ!
さっきまで受けるので精一杯だったのに急に避けられる訳がないだろう!!」
受けるので精一杯って...。
失礼な。
俺はヘンリーの身体を気遣って受けに回っただけだと言うのに...。
どれだけ自信過剰なんだか。
骨の1本や2本折ってもいいかな?
後で回復すればいいし...。
動けなくすればアルトの魔法も避けられる心配もないし...
うん、そうしよ。
「さっきまでの俺だと思うなよ。」
そう言って俺はカマエルに近づく。
全く反応が出来ないカマエルの足に向かって剣の鞘で両足を撃ち抜く。
ボキッ!ボキッ!
俺はカマエルの両足を折った。
両足を折られたカマエルは立っていることは出来ずにその場に倒れる。
「いったい何が...。な、何で俺が倒れているんだ...。」
俺の攻撃が見えなかったのか、
カマエルは何をされているのか分からないみたいだった。
「残念だったな...。お前はもう終わりだよ。」
「何言ってるんだ!
こんな怪我くらい...。た、立てない。」
「それは両足を折ったからな。」
そこにアルトが寄ってきて、魔法を唱え始めた。
「聖なる言の葉の辞書よ。我が言葉に従いこの者の全ての呪いを打ち砕け!!
「や、ヤメロォォォォ!!」
アルトの聖魔法で、ヘンリーの身体から黒い塊が徐々に出てくる。
俺は黒い塊のカマエルが全て出てくるのを見越して師匠から教わって改良した技の型に入った。
「コウ。その技は欠点がある...。」
「マジですか...。結構自信あったんですけど...。」
「スピードはいいが、そのスピードに身体が着いていってないから振り終わった後に隙が出来るんだ。
そこをつかれたら、ルシフェル辺りの強敵だと見切られてしまうぞ。」
「どうすればいいんですかね。」
「俺がお手本を見せる。
それを見てコウなりに仕上げていけばいいんじゃないか?」
「なるほど。俺の[ミヨウミマネ]のスキルで 師匠の基礎を習うってことですね。」
「じゃあ、行くぞ。」
「はい!!」
師匠は剣技を放った。
「これが師匠の....。」
俺はそれからすぐに[ミヨウミマネ]をして再現をした。
なるほど...。
ここに俺の技を掛け合わせれば....。
カマエルなる黒い塊がヘンリーの身体から出た瞬間。
「剣聖...第三の剣技。
桜吹雪。」
一閃乱舞の無駄をなくした進化系の剣技。
音速を越える剣技で黒い塊を花びらの様に散らしていった。
「オ、オレガコンナントコロデ....」
その言葉を最後にカマエルは消えていったのだった。
ちなみに恥ずかしげもなく言っている技の名前は自分で考えた。
この世界は中二病で溢れているのだ。
俺もその病気にかかってしまったみたいだ。
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