第82話、大規模洗脳魔術
決勝戦当日。
俺は闘技場に立っていた。
目の前には第二王子ヘンリー。
相変わらず無表情の顔をしている。
そして闘技場の上の方を見ると、この国レオンハートの王であるオーガイと第一王子や重鎮までもこちらを見ていた。
あることに気付く...
王であるオーガイも洗脳されている事に...。
俺は直ぐ様ヴォイスに伝えた。
ヴォイスから聞いたアルトは複雑そうにな顔をしていた。
そして闘技場の横には、
光輝く聖剣アスタリスクが飾られてた。
眩しいな...。
ってかあの剣、俺に向かって光を飛ばしてないか?
そんな事あるわけないか...
そして、辺りをを見渡すがカマエルがいる気配がない。
ひょっとして俺の杞憂か?
それならばいいんだが...。
「これよりレオンハート王国剣舞祭の決勝戦を始めたいと思います!!
Bランク冒険者コウ・タカサキ!!
そして我が国第二王子ヘンリー・フォン・レオンハート!!」
オォォーー!!
決勝戦は今までの数倍の熱気が伝わって来た。
「尚、優勝者にはあちらにある聖剣アスタリスクと剣聖の称号を授与されます!
果たして、どちらが勝つのか?
いざ、尋常に始め!!」
カーン!!
ゴングと同時にヘンリーが瞬歩でそばに寄ってくる。
「見えているんだよ!」
俺は同じく瞬歩で距離をとる。
俺の方が早かったらしくヘンリーの手刀は空を切った。
俺を普通と思ってるなら大違いだぞ...。
ヘンリーは何事も無かった顔で剣を抜き始めた。
俺もそれを見て双剣を抜いた。
2人同時に走り出す!
お互いの剣技に火花があちらこちらに飛び散った。
闘技場の遥か上空。
「ほう...あれがコウ・タカサキか...。」
「ど、どうですか?」
「報告以上にいいじゃないですか...。
まだまだ力を隠していますね。
ルシフェルが手傷を負わされただけはある。
カマエル。あの器は必ず持ってきなさい。
失敗は許されませんよ。いいですね。」
「...承知しました。」
「かと言って万が一がありますからね...。」
「な、何を...。」
「スタジアム全体に洗脳魔法をかけます。」
「こ、この規模にですか?」
「私を舐めているんですか?」
「め、滅相もないです。」
カマエルは冷や汗をかく。
この規模を?何万人だと思っているんだ...?
ば、化け物め...。
大きな魔方陣がいくつも重なっていく...
なんだこの気配...。
俺はヘンリーと剣を交わらせながら辺りを探った。
上か!?
異様な気配に気づいた俺は、
ヴォイス!!
何か大きな魔法が来る結界を!
(承知しました!マジックバリア!!)
アルト達の回りに結界が張られた。
「
そう唱えるとコロシアムにドーム型の結界が出来た。
「この中に居る者達を洗脳させた。
権限はカマエル。お前にしておいたぞ...。
まぁ、コウ・タカサキは無事だろうが...。」
「この規模の魔法を一瞬で...。」
「カマエル。後は大丈夫だろうな...?」
「は、はい。後はお任せ下さい。」
「ではな、報告を楽しみにしているぞ。」
そう言うとどこかに飛んでいった。
「クソッ!忌々しい!俺一人でも出来たのに...。まぁ、せっかくだし利用させてもらうか。」
そう言ってカマエルはゆっくりと下降した。
上空から大魔法がクソ...
「マジックバリア!」
俺は自分にマジックバリアをして防いだ。
そして、辺りを見渡しても被害はない...。
攻撃魔法ではない...?
しかし、何かおかしい...
さっきまで盛り上がっていた会場がシーン静まっている。
リングアナウンサーも顔に生気がない...
「ま、まさか!?」
俺は辺りを鑑定した。
すると全員洗脳されている...。
みんなは!?
良かった...。なんとか防御が間に合ったみたいだ。
しかし、どうする?
この人数はの洗脳を解除するのはさすがにキツいぞ...
しかも、大半一般人だしな...
そんな事を思っていると、
「ふははは。戸惑っているな。コウ・タカサキ!」
上空を見渡すとそこにいたのはカマエルだった。
「お前の仕業か...。」
「だったら、なんだ?
こんな事しなくてもお前には勝てたのだがな...。」
やっぱりお前か...
何かしてくると思ったがまさか大規模洗脳だったなんて...。
逃げるわけには行かない。
どうする?どうすればいい?
(マスター。アルトが大規模魔術を使うそうですが時間稼げますか?)
大規模魔術?
(何でも全員の洗脳を解く魔法らしいんですが...)
行けるのか?
(成功確率は20パーセントらしいです。
魔力が足りるかどうか...。)
なるほど...。
でもそれに賭けるしかないか...。
俺もヘンリーとカマエルの相手をしなきゃ行けないから頼んでもいいか?
(わかりました!
洗脳されている人達からの守りは任せて下さい。ボロックも居ますし。
なんとか魔法が完成するまで時間を稼ぎます。)
頼む...。
俺は念話を切ってカマエルとヘンリーを相手に剣を構えた。
「やる気があることは良いことだね。
コウ・タカサキ。お前生意気だよ。」
「そりゃどうも...。」
カマエルの殺気に反応してヘンリーも俺に殺気を放ってくる。
あはは...これは...ヤバイかも...
そう思った瞬間カマエルが俺に攻撃を仕掛けてきた。
俺は真っ正面から剣を振ってくるカマエルの剣を受け止める。
お、重い....。
すると後ろから気配が。
ヘンリーが後ろから斬りかかってくる。
俺はもう片方の剣で防ぐ。
2人の力に押し込まれていく...
「
俺は身体能力をあげて押しきって防いだ。
「ほう...。中々やるな。コウ・タカサキ。」
「そりゃ、どうも...。」
それから2人の攻撃を何回も防いでいく。
その中、アルト達は洗脳されている一般人に押し込まれていた。
ボロックは殺さないように力で押して、リアとラテは風魔法を使って壁を作ってた。
かなりキツそうだった。
なぜなら、観客を誰一人殺さないと言う制限があるのだ...
その頃王族達が観戦するVIPルームにて...
「どうなっているんだ...。これは...。」
そこには、洗脳されなかった男が居た。
それは第一王子ウィリアム・フォン・レオンハートだった。
闘技場では2体1で戦っている姿と、
一般の観客が一角の冒険者達を襲っている光景を目にしたのだった。
「父上!!これはどういう事ですか!?」
声を荒げて国王に聞く。
しかし、返事がない。
顔を見ると無表情に闘技場を見ている、他の者達もそうだ...。
一言で言えば生気がない。
何が起きている?
そして、なぜ俺だけは無事なのだ...?
(それは、私が結界を貴方に施したからですよ。)
いきなり声が聞こえた...。
「誰だ!?」
辺りを注意して見渡すが誰も居ない。
「何だ、幻聴か...。」
(幻聴ではありませんよ。)
また聞こえてきた。
俺はまたキョロキョロして周りを見る。
(私の名前は聖剣クラレント。第一王子貴方にお願いがあります。)
聖剣クラレント...。
父上が腰に携えている剣の事だ。
ウィリアムは驚いている。
聖剣が意思を持っているなんて知らなかったからだ。
そして、その聖剣から頼み事をされる。
よっぽど何かが起きている事なんだろう。
(時は一刻を争います。
あそこの観客席にこの国の第三王子アルト・フォン・レオンハートが居ます。)
「な、何だって...アルの奴がここに...。」
(彼に私を持っていって下さい。
そうすればこの大規模洗脳魔術が解けるハズです。)
「洗脳魔術...。だから父上達も返事がないのか..」
(時間が無いのです。
今アルトは大規模な解除な魔法を構築してます。
今のままだと失敗する可能性が80パーセントなんです。
お願いします。この国の命運がかかっているのです。)
アルがこの国の為に...
俺はこの国の何が出来る?
俺が今出来ることは聖剣をアルに届ける事だ!
「わかった!!アルの元に届けに行く!!」
(ありがとうございます!
ここを出ると兵士達や観客達が襲ってきます!相手にしている時間はありません。
なんとか潜り抜けて下さい。)
「任せろ!!」
第一王子ウィリアムは国王オーガイから聖剣を取り、アルトの元に向かって走ったのだった
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