第55話、脱退からの師匠







「ん...?こ、ここは...?」


俺が目を開けた所は見知らぬ天井だった。

身体を起こそうとするが、身体が痛みで動かない...


「コウ君が目を覚ました!師匠~!コウ君が目を覚ましました~!!」


師匠?

アルトは何を言ってるんだ?


ドガドガ!!


ガタン!!


大きな音で扉が開いた。


「おぉ~!!少年起きたか!?」


「あ、ハイ...起きました...あのどちら様で?」


「俺はデューク!中年冒険者だ!よろしくな!」


「あ、はい...宜しくお願いします...」


「師匠はコウ君をここまで運んでくれたんだよ!」


「そうなんですね。デュークさん。ありがとうございます... それでアルト。なんで師匠なんだ?」


「コウ君が寝ていた3日間デューク師匠に聖魔法を教えてもらってたんだよ!」


「そう言う事か....って俺は3日も寝てたのか!?」


「うん...このまま目覚めないかと思ったよ...よかった...」


「心配させてごめんな...

そういえばゴングはどうなった...?」


.......


...........


デュークもアルトも無言のまま下をうつ向いている...。


「そうか...。やっぱり助けられなかったのか...クソ!!」


俺は自分の力の無さが悔しくて堪らない...

俺がもっと強ければゴングを守れたのに...


「いや、そうじゃなくてさ...実は...」


そうアルトが何か言おうとしたその時、

部屋の扉が開いた。


「兄貴!起きただか!!おら本当に心配しただよ!」


あれ!?

ゴング生きてるじゃん!

何で意味深な感じ出すんだよ....この野郎...

さっきの俺の気持ちを返せ!!


俺はアルトを睨むと、アルトは視線を外した。


「デュークさんが居なかったら、おらほんとにヤバかっただよ...。」


「それはもういいよ!何回もお礼は聞いたし、それ相応な物を俺ももらったしさ!

言いっこ無しで行こうぜ!!」


「んだども...」


「それよりコウに話があるんだろ?」


「そうだ。兄貴!こんなにお世話になってるのに本当に勝手な事を言うんだけども、パーティーを抜けさせて欲しいだ...」


「えっ?」


俺は驚いた。

えっ?何で??って言う気持ちが出てくるが、ゴングが真剣な顔をして話を続けた。


「おらの力じゃこれからの冒険で足手まといになるし、兄貴に迷惑を掛けたくないだ。

それに....」


「それに?」


「おら結婚する事になっただ!!」


「.....え?」


「入っておいで.....」


扉を開けて入ってきた女性は、違うパーティーのヒーラーのアニーだった。

真っ赤な顔してゴングのてを繋いだ。


「エエェェェェェェェェェ!!!!!」


マジか...?

マジなのか...?

俺は夢を見ているんだよな?

うん。そうだ。これは夢に違いない!!

ゴングに嫁さんって!

うそうそ...

だって俺眠ってたのたった3日だぜ!

ないない!

そんなスピード婚はない!


(マスター...いつまで現実逃避しているんですか?)


ヴォイス...

嘘だよな...?

これってドッキリか何かだろう?


(いい加減にしなさい!!仲間が結婚するって言ってるんだからちゃんと祝福しなきゃダメでしょ!!)


だって...


(だっても、ヘチマもない!!しっかりしなさい!)


.....シュンです。


(キモ!!)


ひ、ひどい...


俺がヴォイスに怒られていると、ゴングが土下座して言ってきた。


「兄貴頼むだ!!おらはこれからアニーだけを守って生きたいんだ!」


すると、アニーも土下座して来て、


「お願いします。コウ様。

ゴング様とずっと一緒に居たいのです。

助けてもらった時から一目惚れをして、そして死に掛かったときにこの人を死なせたくない。私とずっと一緒に居てこれからも生きていて欲しいと思いまして...私の方からプロポーズさせていただきました...。

本当に勝手だと思いますけども、ゴング様をパーティーから抜けさせてもらうことは出来ませんか...?

このままコウ様のパーティーに居るといつ死んでしまうか分からず気が気じゃないのです...。」


いやいや、土下座までしてそんなに捲し立てられるように懇願されたら、怖いって...


「わかった。わかったから、二人とも土下座はやめてくれ。」


「それじゃあ...」


「あぁ。パーティー抜けるのはわかったよ。幸せになってくれよ!お二人共!」


「兄貴本当にありがとう。」

「コウ様、ありがとうございます。」


2人とも泣きながら喜んだ。


「ところで、ゴングはこの先どうするんだ?

仕事とか?実家に帰るのか?」


「いんや、ソーマさんの所で弟子入りするだ。

前仕事手伝った時に話を頂いてて。

そうそう、兄貴達のパーティーのハウスをソーマさんの店の隣に建てたから元気になったら、見て欲しいだ。」


「えっ?そうなの?俺3日寝てただけなのに...

いつの間に建てたんだ?」


「戦いが終わってからギルドから功労者達へと言って土地をもらったんだよ!

コウ君デュークさんの家で休養してたから、

僕が場所を決めてゴンさんが1日で家を建てたんだよ!

ゴンさんの大工っぷりはまさに神業だったよ!今はリアとラテさんが家に必要な物を買いに行ってもらってるんだ。」


「そして、おら達の新居はその隣に建てただ!」


「ゴングすごいな!ありがとう!」


「ちなみにこの家もゴングが建ててくれたんだぜ!!」


「ここも!?」


ゴングは照れていた。

すごいヤツだな...

将来は安泰だな。いい家庭を築いてくれよ...


その後、アルトが回復魔法をかけてくれて俺は動けるまで回復した。

ゴングとアニーは新居の道具を買いに行くとデュークの家を出ていき、アルトとデュークと俺の3人になった所で、

デュークが真剣な顔をして俺に言った。


「勝手ながら君のステータスを見せてもらった。君はもう「闇纏い」と「怒髪天」は使うべきではない。」


「なっ!?」


俺は驚いた。

普通の鑑定では俺のステータスは隠蔽の指輪で見れない。

このデュークという中年は鑑定・全を持っているということだ。


「この二つはモンスターから君自信のユニークスキルで真似た物だろう?

知性の低いモンスターには有効だが、今回のようなヤツには相性が非常に悪い。

そして、ヤツは言った。

また会いに来ると...

あんなのがまた来たら今度こそ確実に殺られる。」


そんなことは俺が一番分かってるよ...

だったらどうしろと...


「そこで提案なんだが、

アルトと一緒に聖魔法覚えないか?

君のユニークスキルなら俺の持っているスキルを覚えられると思うし、

今回の戦いでヤツに聖魔法が非常に効くことがわかった。どうだろうか?」


俺にとっては好都合だけど...


「コウ君やろうよ!僕も次に備えて戦えるようにがんばるし!」


それは。分かってるんだけど...


(何悩んでるんですか?いい提案じゃないですか?)


この人デュークの事良く知らないんだけど...


(人見知りか!?聞けばいいじゃない!バカなの?)


最近ヴォイスのあたりがキツくなってる気がする...


「いい提案だと思います、が...

あの....」


「なんだ?言いたいことは言った方がいいぞ!少年!」


「デュークさんて、何者ですか?」


ズコーーーッ!!


盛大に二人がコケた。


だって、俺寝てた訳だし...

みんなは知ってるみたいだけど俺知らないし...


「すまんすまん!ちゃんとした自己紹介がまだだったな!

俺の名前はしってるか...

一応、剣聖とよばれてるな...Sランク冒険者だ!」


「剣聖!!Sランク!!めちゃめちゃすごい人だ!」


「師匠はスゴいでしょ!?」


アルトが師匠って呼ぶのも分かる。


「その提案を受けたいとおもいます!あの...」


「ん?どうした?」


「俺も師匠って呼んでもいいですか?」


「あぁ!いいぞ!俺も少年じゃなくてコウって呼ぶな!!」


「ハイ!師匠!これから宜しくおねがいします!」


「おう!宜しくな!」


こうして俺はアルトと共に師匠から聖魔法の手解きを受けることになった。

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