第41話、美味でございます!




俺は皆に嵌められて大型肉食ミミズワァームへと近づいていった。


皆も薄情だよなぁ...

誰もついてきてはくれない...

俺の人徳がないせいなのかな...

とか考えつつ、

ワァームに近づくと砂漠蜥蜴人D・リザードマン砂漠豚人デザートオークが共闘してワァームを攻撃してた。


やっぱりダンジョンの性質事態が変わったのだろう...。

しかし、倒すのには変わりないから俺は二本の剣を構えてモンスターの群れの中に突っ込んでいった。


砂漠蜥蜴人D・リザードマン砂漠豚人デザートオークはワァームに夢中で、俺の存在に気づいていない。

好都合だ。


俺は背後から次々とモンスター達の首を跳ねていった。

首を跳ねられたモンスター達は何が起きたかわからないまま、意識を離していく。


オート収納でモンスターの死骸を次々収納していき、気づいたときにはワァームだけとなった。


俺はワァームの鑑定を行った。



ワァームLV 50


HP 5000

MP 2000


アビリティ

・砂堀・丸飲み・強酸・再生


弱点

・斬擊・氷



砂漠のモンスターだから寒いの苦手なんだな...


(そうですね。モンスターは環境と相反するのが苦手みたいです。)


ならば、アルトの魔法を使わしてもらうか...

俺は魔力を高めてイメージする。

辺りに冷気が溢れだす...

徐々に氷の塊が大きくなりワァームの真上に5メートルほどの氷の塊ができた。






氷の大槍の雨アイスジャベリングレイン!」





コウがそう言った瞬間!



ワァームの頭上にあった大きな氷の塊は砕けて槍の形に変わり次々とワァームの体に突き刺さった。



しかし、刺さった箇所から徐々に回復しているようだった。




(マスター。ワァームは核を壊さないと再生しますよ。)


核はどこにあるんだ...


(ワァーム顔の中心です。)


顔の中心って言っても、アイツ口しかついてないじゃん...

目印はないのか...?


(中心です。)


無いってことね...


俺はワァームの顔の先端に近づいた。


普通の家を1軒丸飲み出来そうな口がヨダレを垂らしながら開いていた。


マジでキモい...

なんか臭いし...


(マスター。それは先入観ですよ。

ワァームは無味無臭のはずです。多分。)


曖昧じゃん...


ワァームは俺を感知してジタバタ動き始めた。

ヨダレが俺に向かって飛んでくる。


きったねえ~。と思いつつ避けていると、

ヨダレが落ちた砂場が溶けていた。


危ない危ない。

アレはヨダレじゃなくて強酸じゃねぇかよ...


(よく気づきましたね。

当たってもあの位の酸ではマスターは傷つきませんよ。

防具は溶けてしまうかもですけど...)


あぶねえじゃねぇか...


(防具が溶けてマスターの裸がチラホラ見える!萌えですね!マスターお願いです。

酸を食らってください!)


嫌だよ!!

何が悲しくてそんな事しなきゃならないんだ!


(そ、そんな...可愛い可愛いヴォイスのために一肌も脱いでくれないと...)


いやいや...

今は戦闘中だからね。

それに裸なら水浴びしてるときに見えるだろ...


(マスターはまるで分かってませんね!!

戦闘中のほとばしる汗と共に装備の合間からチラチラ見えるマスターの肌!

緊張感を持って強敵と戦う姿!

これぞ萌えぇぇ!

ワタシの究極の至福ゥゥゥ!!)


おーい...

ヴォイスさん現実に帰ってきておくれ...

そもそも、コイツ強敵じゃないし...

こんな会話が出来てる時点で緊張感まるで無いし...


(さあ!

マスター今こそ萌え道の伝説へ導かれん!!)


ダメだこりゃ...

しばらく放っておこう....


俺は再びワァームに意識を戻した。


どこに核があるんだ...?

俺はワァームの強酸を避けながら、気配察知と集中をした。

なんかチラチラ光ってるのが見える...

アレが核なのか...?


(マスターすいません。興奮のあまり暴走してしまいました。マスターの見えてるのはワァームの核ですね。

今、気配察知と集中で、新しいスキル心眼を覚えました。)


マジか!

思わぬ収穫だな...

あそこが核なら後は簡単だ!



俺は強酸の嵐を避けながらタイミングを見計らった。


一番核が光った瞬間。


「瞬歩。」

ワァームの核の間近に行き


「一閃!」


ズバァァン!!


核ごとワァームの顔を真っ二つにした。

そしてワァーム沈黙していくのだった。


ぞろぞろとパーティーメンバーが近づいてくる。

「す、凄かったね。コウ君本当にこれ食べるの?」


「食べるよ...その為に狩ったんだし、美味しくてもやらんからな...フン。」


俺は10メートルの大きなワァームの巨体をバラバラに解体し一部を残して収納した。


そして、ワァーム肉を剣に刺し前に採っておいたハーブとダンジョン塩をまぶして、魔法で焼いてみた。


ジュー...

ジュワジュワ...


肉汁が滴れ落ちる。

辺りにいい匂いが充満する....


パーティーメンバーは食い入るように見つめている...

ふん...

手伝ってくれない人達には上げません...


良い感じに焼けた所で、



実食!!




匂いは完璧。


果たしてどうだ...



パクッ!




モグモグ...




ゴクンッ!!




「美~味~で、ご~ざ~い~ま~すぅぅ~!!」



俺の声が辺り一帯響き渡った。




本当にめちゃめちゃ旨い!

外はカリ、中はジュウシー。

噛めば噛むほど油の甘味とダンジョン塩の塩味とハーブのハーモニーが素晴らしい!

焼き白子のような味と濃厚だった。

これに日本酒があったら最高だな!

これは本当に珍味だ。

ギルドに依頼してまで食べたいって言う気持ちがわかる。


ワァームの美味しさに堪能してると皆近づいて来て先頭のアルトが口を開いた。



「コウ君、あのさ...一口貰えないかな...?」


「その前に俺に言うことあるんじゃないの?」


「そうだね...コウ君一人で戦わせてごめん!

見た目が悪いし、不味そうと思ってたんだけど、

コウ君の美味しそうな顔見てたらどうしても食べたくなって!」


みんなもゴメンと謝ってくれたので、

俺の機嫌も良くなり、

ワァームとオークの肉でバーベキューすることにした。



「何これ!美味しい!」

「兄貴!こんなの食べたことないだよ!」

「なかなかやるわね...」

「コウ君本当に美味しいよ!ありがとう!」


そこまで絶賛されると何か恥ずかしいな...


(マスター。良かったですね!)


うん!よかった!



「みんな!!

ここで英気を養って、今日中にダンジョンをクリアしよう!

一杯食べてくれ!」


「「おぉー!!」」


こうしてお腹一杯食べおわって俺達はダンジョン攻略に励んだ。

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