第33話、無自覚って怖い






13階層は俺。

14階層はアルトとリアのコンビでアッサリとクリアした。


「次は順番的には俺だよな!」


「次は中ボスの部屋でしょ?

さすがにコウ君一人にやらせるのは申し訳ないよ」


「大丈夫だって!」


「兄貴なら大丈夫だっぺ!」


「一回クリアしているゴンさんが言うなら大丈夫か!」


俺達は15階層の扉を開けた。

中は広い空間になっており奥に祭壇の様な物が置いてある。


「兄貴。ここのボスはレイスだべ。

魔法抵抗力が強く物理が聞きにくいし、

取り巻きのスケルトンも強化されてるんで気を付けるだよ。」


「あぁ。ゴング説明ありがとう。

サクッと倒してくるよ!」


俺は徐々に祭壇に近づいた。


気配察知で祭壇にいるのがバレバレなのだが、一向に出てこない...


俺は2本の剣を構えた。




「風刃斬り!」





ドゴォォォン!!




2本の真空波が祭壇に直撃して、崩れ落ちた。

堪らず出てきたのはレイスだった。

取り巻きの強化スケルトンは粉々に散っていた。

レイスは怯えている様だったが、関係無い...

グッと足に力を入れて、




「一閃!」




高速の十字の一太刀がレイスの胴体を十文字にした。

そして、浄化されて逝った...。





ヴォイスさん?


(何ですか?)


一閃って言ったけど、二刀流だと技の名前変えた方がいいかな?


(どっちでも良いわ!!

真剣なトーンだから何かあったのかと思って心配して損しました!バカ!)


ご、ごめん...。

なぜか怒られてしまった。




「コウ君凄いね!」

「兄貴!凄すぎっだっぺ!」

アルト達が近づいて来て称賛してくれる。


「あぁ...ちょっと呆気なさ過ぎて、ヤバイな…」


「そうかな?じゃぁさっさと初心者ダンジョンクリアしちゃって中級ダンジョン行ってみようよ!」


「それが良いかもな!ゴングはどう思う?」


「おらも賛成だ!兄貴と先生なら余裕で行けると思うだ」


「ゴングは中級ダンジョンはクリアしてるのか?」


「恥んずかしい話だが15階層までしか行けなかっただ...」


「どうしてだ?」


「前のパーティーは戦闘に特化したパーティーだったんで回復がポーションだけだったんだ。それでいつも途中でポーションが切れて引き返していただよ。」


「なるほどな...。

まあ、回復なら俺達が出来るし大丈夫そうだな。」


俺達はソーマが武具を完成させるまでランクアップの為に中級ダンジョンクリアと言う目標を立てた。


魔石を収納して16階層に行くと、石造りの道が続いていた。


「ここから出るモンスターはボスまでストーンゴーレムしか出てこないだべ。だから、おらも戦わせてほしいだ。」


「わかった。じゃあ、ここからは俺とゴングで戦おう!アルトもそれで良いか?」


「うん!僕は全然いいよ!さっき戦ったのでだいぶリアとの精霊魔法も使い方解ってきたし!」


「よし!ゴング行くか!」


「んだ!やるべ!」



気配察知を使いながら石畳の通路の先に進むと5体ほど反応があった。



「ゴング!この先にモンスターの反応があったぞ」


「分かっただ!気合い入ってきただ!」


ここまで何もしてなかったゴングは、

気合いがめちゃめちゃ入っていた。


「うおぉぉぉ!岩砕拳!」



ドゴン!ドゴン!



襲ってくるストーンゴーレムを次々と殴り粉砕していく。



俺も負けてはいられない!

俺は岩砕剣を使わずにゴーレムに一太刀。

バターのように切れてくストーンゴーレムを見てレベルアップしてる実感が沸いた。

そして、俺達のパーティーはサクサク進んでボスの階層までたどり着いた。


「兄貴。ここがボス部屋だべ。」


ゴングよ...。言わなくても分かってるぞ...。


少しでも役に立ちたいのか、ゴングが続けてしゃべってくる。


「ここのボスはミノタウロス2体でるだ。」


でしょうね...。


俺は、何となくそうだろうなと思って聞いていた。


「ゴンさん!心配はご無用ですよ!

コウ君もあんなに強いし、

僕だって新たな魔法も覚えましたし、鬼に金棒ですよ!

今だったら魔王でも倒せます!」


ん?

...ヤバイな。

......これは絶対ヤバイヤツだ。

アルトがそう言うこと言うとき、

決まってイレギュラーが起きる...。


「そうだべか...。

おらの野生の勘がちょっとざわついてるから、注意した方がいいかなと思ってるんだけんども...。」



ゴングよ...。

それは多分、当たりだ...。

アルトの無自覚のスキル発動してるんだろう...。

より一層気を引き締めなければ、

俺は緊張の面持ちでボス部屋の扉を開けた。




ギィィィ...。



重々しい扉を開けると遠くに見えるのは、

玉座に座る首の無い鎧のモンスターと、

そこにひざまづく黒と白のミノタウロスの姿があった。


俺は危険を感じ直ぐ様、鑑定をした。




ブラックミノタウロスLV60



HP7000

MP2000


アビリティ

剛力

咆哮



ホワイトミノタウロスLV60



HP7000

MP2000


アビリティ

疾風

咆哮





デュラハンLV80



HP12000

MP4000


スキル

闇纏やみまと

大剣術

鉄壁





「ゴング...。ボス部屋であんなの出るなんて、聞いたことあるか?」


「無いだ...。あれは本能的にヤバイモンスターだべ...。」


「だよな...。

今の俺達では勝てないかも知れない...。

一度外に出て...。」



バタン!!




は?



おもむろにアルトが言った。

「ご、ごめん...。間違えて扉閉めちゃった...。」



.....へ!?


........




おいおいおい...

閉めちゃったじゃないぞ!

どうするんだよこれ!

ボス部屋は一度閉めたら倒すか死ぬかするまで開かないんだぞ。

アルトよ、やってくれたな...。

本当、無自覚って怖い。



(マスター落ち着いてください。

相手は強敵ですが、レベル上げるチャンスです!)


簡単に言うなよ...。

あいつらモンスターは俺より20以上レベルが上なんだぞ...


(大丈夫です!クイーンアントの時だってレベル差あったけど、楽勝だったじゃないですか?

マスターは強い!自信持ってください!)


そっか、そうだよな...。

逃げ道もないし、四の五の言っても始まんないよな...。

ヴォイスありがとう!

俺頑張るよ!


(ハイ!マスター頑張ってください!)



幸いにもモンスター達はまだ気付いていないようだな...。


「みんな集まってくれ。敵の情報と作戦を伝える!」


こうして、ボス戦を向かえるのだった。

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