第2話、チュートリアル開始したけど、モヤっとする。




パチン!!



音が鳴った瞬間、真っ暗な世界から鮮明な色がつく。

雲一つない青い空。緑の生い茂ってる草原。

心地よい日差し。気持ちいい風。

俺は異世界に来たんだ!

抑え切れない高揚感に震えていた。


おっと、忘れちゃ行けない...。

このままだとすぐ死ぬと言われたな。

神様の言葉にしたがって、

「ステータスオープン」

そう言うと俺の目の前にステータス画面が広がった。


本当にゲームみたいだな...。

どれどれ、


「コウ・タカサキ(15)LV1

・HP30・ MP20

職業・無職

ユニークスキル

「ミヨウミマネLV1」

ギフト

・鑑定・収納

神の加護

チュートリアル



ステータス低っ!

おいおい、神様これはすぐ死ぬど。

とりあえず他を見てみる。

鑑定、収納は異世界定番それはめっちゃ嬉しいんだが...。

なんだこのユニークスキル

「ミヨウミマネ」って...。

鑑定して見るか...。


「鑑定![ミヨウミマネ]」


[ミヨウミマネ]LV1

・唯一無二のユニークスキル。

相手のスキルを見様見真似で獲得する。

ただし、真似なので劣化版。

レベルが上がり進化可能。


「...って、なんじゃこれりゃぁぁぁ~!」

俺は絶叫する。

こんなのスキルでも何でもねえって...。

言うなれば、ただの器用貧乏じゃねーか...。

しかし俺には心当たりはあった。


確かに前世では、結構な器用貧乏な方で、

スポーツとか上手い人のを見て真似したりしてそこそこ出来てたし、

何の仕事をしても先輩達が仕事は見て覚えるんだとか言われて、

覚えて大概できる様になったけど、

極められないってよくあったな...。


....ん!?

でも、ちょっと待てよ。

冷静に考えればいいスキルなんじゃないか?

色々覚えられるってことは1つの事に縛られなくていい。

剣術覚えて、魔法覚えてとか万能じゃないのか?それに俺だけのユニークスキルだし、


おぉ...。

なんか急に良いスキルに思えて来た!

神様ありがとう!


ご都合主義だなぁって自分でも思うけど、

ここは異世界だし!

うん!楽しく生きよう!


「やるぞ!やるぞ!やるぞぉぉ!」


.........。

...............。

むなしく俺の声だけが響いた。




まぁ、気を取り直して、

神の加護がチュートリアル?

「鑑定。チュートリアル。」


チュートリアル

初心者が死なないためのアドバイスしてくれるサポーター。


通称 天の声


天の声って某情報番組のヤツだよな。

なんか以外にこの世界って日本ぽいな

起動してみるか....。

ポチっとな。

ウインドウにあるチュートリアルを押してみた。


(どーも!マスター!

天の声です♪略して天ちゃんヨロシクね~♪)


ノリ軽っ!

これ信用できるのか...?

神様といい天の声...天ちゃん?といい、

ノリの軽い感じが流行ってるのかな?

まぁ、いいか...。


(ところでマスター、装備は確認しましたかぁ?)


いや、してないけど...。


(是非、確認しましょう~。

某ゲームの武器屋の親父も言うじゃないですか!

「持ってるだけじゃ意味ないぞ。装備しないとな!」ってね。)


確かに...。

ってか天ちゃんはどこでそんな知識を身に付けたのだろう...。

いや、この世界の武器屋に行ったらみんなが言うのかな?

定番な決まり文句みたいな感じで。

なんにせよ、街に行くのが楽しみでしょうがない。


で、天ちゃん。

その装備は一体どこにあるんだ?

見当たらないけど...。


(収納の中だよぉ。

初期装備のショートソードとバックラーが入ってるね。

ステータス画面からタップしてね~。)


本当だ...。

ステータス画面からタップして装備しますか?って表示されている。


答えはもちろん、イエス!


「おぉ~!装備カッコイイ!!」


俺の中二病が歓喜に震えだしてる。


(それではマスター。

これから戦闘指南始めるよ!)


「えっ!

ちょ、ちょっと待って。

まだ心の準備が...。」


(大丈夫、大丈夫!弱いモンスターだからさ!)


なんて言ってると目の前10メートル先に現れた!

緑色の1メートルくらいの背丈のゴブリンだ!

実際見るとにやけ顔だし、よだれ垂らしてるし、気持ち悪い...。


(マスター!

剣を構えてから、ゴブリンを鑑定してみて!)


俺は天ちゃんの言う通りに剣を構えてゴブリンを鑑定した。



ゴブリンLV3

・HP10・MP2

スキル

・投石LV1


ステータス的には全然弱いじゃん!

これなら全然行けそう!


(マスター!

ゴブリンが投石を使うまで耐えて!)


えっ!何で?


(マスターが見ればスキルを覚えられるからだよぉ。)


あぁ、なるほど。

ミヨウミマネだから1度見ないとスキル覚えられないのか…。

って毎回攻撃食らわないと覚えられないってこと!?


(違いますよ!

1度スキルを見れば覚えられるから普段は受ける必要はないんだけど、

今はマスターとゴブリンしか居ないから、

スキルを受けないと覚えられないのでしょうがないんだよ!)


...なるほどな。


ゴブリンは警戒して距離をとってる。

っと突然ゴブリンが動いた!

そして近くにある石を俺に向かって投げてきた!


危なっ!!

俺はとっさに避ける。

思った以上に投げられた石が速い...。

100キロは出てると思う。

あの小さいゴブリン身体から投げられたとは思えない。

まぁ、バッティングセンターなら打ちごろの球速だけども...。


そんなことを考えていると、ゴブリンは次々と石を投げてきた。


飛んで来る複数の石をサイドステップでかわし、大きく踏み込んでゴブリン近づく。


俺の速さに驚き戸惑うゴブリン。

隙だらけのゴブリンの首をショートソードで狙う!


スパッ!



……ポトッ。


首を落とされたゴブリンは絶命した。



「何だ~。弱いじゃん!

いや俺が強いのかな~、なんて。」

と意気揚々といると天ちゃんが呟いた。


(......弱いのは当たり前じゃないですか。

...この世界で最弱モンスターなんですから。)


ちょっと呆れられてる感じがした。


(まぁなんにせよ、

初モンスター狩りおめでとう!

そしてスキル覚えたね~!)

俺はステータス画面を見てみる。


「おぉ~!

投石(仮)LV1覚えてる!


ん?

(仮)?」


(マスターの[ミヨウミマネ]]で覚えるスキルは全て劣化版ですよ。マネですから...。)


あぁ...。なるほど。

所詮はマネだもんな...。


(でも、落ち込まないで!

ちゃんとスキルレベルが上がれば(仮)も取れるから!

前向きが1番!!)


ですよね...。

なんかモヤモヤした気持ちで初めての戦闘を終えたのだった。

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