恋模様

第1話 雨模様

私たちを少女漫画に例えるならきっと

彼は人気者の主人公で

私は主人公に思いを寄せる女子たちの一人にすぎないだろう。


私が幼稚園児だった時入園して半年間,

人見知り‪を発動して誰とも喋らなかったという。そんな私も4月から中学2年生…。

絶賛・人見知り中です。


「あの五十咲(いさき)です。えー…よろしく。」

「え、あ、こちらこそ。 楠木(くすのき)です」


席替えは嫌いだ。

せっかく仲良くなれた机や椅子そして班のみんなにおさらばしなくちゃいけないからだ。


今度は五十咲くんかー。喋ったことないし、

1年の時違うクラスだっからなー。


部活はバスケットボール部。身長は少し高めで,本人は自覚していないだろうけどイケメンで一部ではモテているらしい。五十咲くんについて知っていことはこれくらいだ。


「ねねねねね! 棗(なつめ)!」

「なん?」

「私!綾瀬(あやせ)くんの隣になっちゃった!」

「え!おめでとう 雫(しずく)!おめでと

うって変 か!?」

「ありがとう~!!」


言えるわけない。

こんなに嬉しそうな顔をしている友達に

“実は私も綾瀬くんのこと好きなんだ”

だなんて。


「それでさ!さっきこれからよろしくって話

しかけたらさ、こちらこそって言ってにこ

って笑ってくれんだ~! もうカッコよすぎ

る!」

「そっか、良かったね」

「あ、もうすぐチャイムなるから戻るね」

「うん」


私、ちゃんと笑ってたかな?

嫌な顔してなかったよね?

雫が綾瀬くんの話をする度にこんなことを考えているなんて知ったら雫はどう思うんだろう。空は雲一つなく冴え渡っているというのに私の心は雨模様…。


「2年3組の担任の三原です。去年は1年3組さんの担任だったから知らない人はいないと思うけどよろしくお願いします。」


今年の担任の先生は三原 美紀先生か。

私は去年1組だったから詳しくは知らないけれど,噂によると美原先生は去年のクラスでおっちょこちょいすぎて生徒に“ドジっ子ミキちゃん”と呼ばれていたらしい。


「早速ですが,来年の上旬にオリエンテーシ

ョンのキャンプに行きまーす!」


…来年?? まあ、いいか。


「あ、違う来月ですねー。失礼しましたー

で、オリエンテーションでは主に班の人と

行動してもらいます。だから班員の名前覚

えといてよー、じゃあホームルーム終わり

ます。一限目の準備してくださーい」


「ねね、三原先生の今日もドジ絶好調だったな、」

「それなー」


そんな言葉が教室を行き交う。

…よし!


「ねぇ五十咲くん、三原先生っていつもあん

な感じなの?その、ちょっと抜けてるとい

うか。」


「あーそうだよ、一部ではドジっ子ミキちゃ

んって呼ばれてるしね!笑 去年なんか

さ!…でも大変だった!‪笑」

「何それ!もうそこまでだったら心配になる

レベル!」


キーンコーンカーンコーン


「「あ!」」

「五十咲くんありがとう」

「いいえ!」


五十咲くん、いい人だな。

まだあんまりわかんないけどモテる理由がわかる気がする。隣がいい人で良かったー。


…あれ?そういえば私、初対面なのに五十咲くんと普通にしゃべれたな。なんでだろう。








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